三谷産業と清水建設は、サーバ室の温度環境をクラウド上の人工知能(AI)を使ってリアルタイムに省エネ制御するサービス「SMT(Smart Management Technology)クラウド」事業を展開すると発表した。
併せて2社は、SMTクラウドの基盤を活用し、既存サーバ室の空調性能を評価、空調機器のベストチューニングや空調方式の変更、SMTクラウド導入のための機器更新を提案するコミッショニングサービスも開始する。
初年度は、三谷産業が本社(金沢市)を置く北陸地方を中心に営業展開し、2019年度から全国展開を図る。期待される効果は、空調機器の性能によって異なるが、最大25%程度の省エネが見込めるという。新築の場合、施設ごとに空調機器の制御装置を備える必要がなくなるため初期コストを削減でき、空調制御機能の大部分をクラウド側に集約するので、サーバ室の運用変更や空調機器更新に伴うシステム調整にも速やかに対応できる。また、施設管理者による温度計測等の業務も大幅に削減できる。
サービス概要図
同サービスでは、サーバ室に設置するIoTセンサ類が温度環境データを収集し、AIが当該データを蓄積・学習して空調機器の運転状況とサーバ室各所の温度との関係をモデル化する。そして最適な温度環境を必要最小限のエネルギーで実現する制御情報を空調機器に送信し、サーバ室内の温度環境を見える化する。SMTクラウドが利用するネットワークは、施設における既存ネットワークとは独立したネットワークとなる。なお、クラウドを介さず、AIをカスタマイズして当該施設内に直接AI装置を提供することも可能。
コミッショニングサービスでは、最初に両社の技術者が当該サーバ室の空調機器の性能を分析。結果を踏まえて、機器のベストチューニングや空調方式の変更、クラウド制御といった省エネ提案を行う。
SMTクラウドの利用価格は、初期費用を除き、概ね100ラック規模で年間120万円程度になるという。コミッショニングサービスの費用は、サービスのベースとなる空調機器の性能分析で80万円程度(100ラック規模、提案費用は別途)。
両社は今後、2020年度末までに、50件程度のデータセンターに対してコミッショニングサービスを提供し、SMTクラウド事業の拡大を目指す。