Dell Technologiesは4月30日、米ラスベガスで年次イベント「Dell Technologies World 2018」を開幕した。午前の基調講演ではDellの創業者でDell Technologiesの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるMichael Dell氏が登壇し、Dell Technologies傘下企業が実現する4つのトランスフォーメーションにより顧客を支援すると説明した。
データはアプリよりも価値がある
Dell Technologiesの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるMichael Dell氏
Dell氏は冒頭、Dell Technologies Worldを「可能(possible)のためのプラットフォームになれば」と願いを語った。
2016年にEMCと合併後、Dellは社名をDell Technologiesとし、クライアントのDell、エンタープライズシステムのDell EMC、仮想化のVMwareなど7つの子会社を持つ形態を取っている。フラッグシップイベントは毎年EMCがこの時期に開催していた「EMC World」に合わせた形となるが、2017年は「Dell EMC World」としてDell EMCが中心だったのに対し、今年は「Dell Techologies World」として、Dell EMCにとどまらずVMware、PivotalなどDell Technologiesのポートフォリオ全体を顧客に見せる。
登録者は世界129カ国から1万4000人と過去最高となった。「Dell Technologiesは、インテリジェントなエッジ、IoT、マルチクラウド、売り上げ共有型のコンピューティングと統合されたイノベーションを届ける」とDell氏は述べ、多様なポートフォリオを競合との差別化と位置付けた。
IoT、AIなどのトレンドがある中で企業は現在、新しいビジネスモデルを考案したり、顧客との関係を強化したり、新しい製品やサービスを生むために技術の使い方を再考しているところだという。「企業にとって技術は最優先のアジェンダになった。技術戦略こそビジネス戦略だ」(Dell氏)。
将来はソフトウェア主導の企業にならなければならないというのが企業に共通した理解であり(Dell Technologiesの調査では「今後5年でソフトウェア定義ビジネスになる必要がある」と述べた企業は82%だったとのこと)。すぐにIoT、AIといった技術を活用したいという「切迫したニーズ」を感じているという。スピードだけでなく、拡張性も求められている。
中でもデータについては「AIがロケットならデータはその燃料」とDell氏は述べる。「アプリケーションよりも重要かもしれない」ともいう。企業は既にデータを保有しているが、これを製品やサービスの向上に役立てることで顧客が増え、データが増えるという好循環を構築する必要がある。
さらには2019年に前倒しでスタートすると見られている高速な無線通信技術5Gにより、接続とデータの移動の障害は大きく緩和されるとみられている。2020年には200ペタバイトのデータが毎日生成されるという予測を披露しながら、Dell氏は「データをどのように使うのかを知っていれば、データは価値のある資産になる」と予想した。
一方、大量のデータとIoTによりモノがつながる世界(2020年に生成される200ペタバイトのうち99%が人ではなくモノと予想している)では、安全性も重要だ。Dell氏は「Dell Technologiesはコネクテッドな世界を安全にするのかを考えており、ストレージやコンピュートパワーを必要とするAIに対応したインフラをエンドツーエンドで備える」と述べる。