CDNで遅延1秒以下の動画配信を全世界で実現--ライムライト・ネットワークス

渡邉利和

2018-05-17 09:46

Limelight Networks最高経営責任者のBob Lento氏
Limelight Networks最高経営責任者のBob Lento氏

 ライムライト・ネットワークス・ジャパンは5月15日、米国本社の最高経営責任者(CEO)のBob Lento氏によるメディア向けの事業戦略説明会を開催した。コンテンツ配信網(CDN)事業の最新動向を紹介している。

 まずLento氏は、同社の中核事業であるCDNに関して特に、「オンデマンドおよびライブビデオ」の配信に注力する一方、新規分野として「IoT(モノのインターネット)とエンジコンピュート」にも積極的に取り組んでいく方針だと述べた。これらは、32テラバイト超の配信ネットワークのデータ容量、全世界の主要80都市以上に配置したデータセンター、全世界で900以上のISP/ネットワークと接続されるという同社のネットワークインフラの規模と特徴を生かした取り組みとなる。

 ビデオ配信については、継続的なインフラのキャパシティ強化を行っており、拠点となるデータセンターの追加やアップデート、サーバのキャパシティ増加やエネルギー効率の向上などを実現している。その成果もあって、ビデオストリーミング配信時のリバッファの発生率が低下したという。この取り組みをさらに進め、2018年第3四半期には「グローバル規模で1秒未満のストリーミングを実現」する計画だ。

2018年第3四半期に提供を開始する予定の低遅延配信の概要
2018年第3四半期に提供を開始する予定の低遅延配信の概要

 Lento氏は、動画配信におけるこれまでの問題として、テレビなどに比べて遅延が発生しがちであるため、例えば、スポーツ中継における得点シーンなどを数秒遅れて見ることになり、周囲のテレビ視聴者の盛り上がるタイミングから取り残される――といった状況を指摘した。米国で人気のあるスポーツなどでは町全体が盛り上がり、得点シーンなどで大歓声が上がるといった状況が時々見られるが、ストリーミング配信で観戦していたユーザーはまず大歓声を聞いてから、実際の得点シーンを視聴することになってしまう。グローバルで1秒以下の遅延が実現できれば、こうしたズレはほぼ解消されるだろう。

 また、IoTとエッジコンピューティングに関しては、同社が全世界に80カ所以上配置しているデータセンターをエッジコンピューティングの拠点として提供する取り組みだ。ハイパースケールと言われる大規模クラウド事業者は、巨大かつ比較的少数のデータセンターを構築して高効率で運用する方針だが、CDNが主力の同社は比較的小規模なデータセンターを多数配置するデザインのネットワークを構築しているため、ユーザーの近くで十分なコンピューティングリソースを活用するエッジコンピューティングには親和性が高いという。

エッジコンピューティングへの取り組み
エッジコンピューティングへの取り組み
ライムライト・ネットワークス・ジャパン カントリーマネジャーの田所隆幸氏
ライムライト・ネットワークス・ジャパン カントリーマネジャーの田所隆幸氏

 米国で発表済み事例では、パイプラインの監視をドローンで行うシステムで、画像の解析/比較によって異常を検知する処理を、同社のデータセンターをエッジとして活用して処理することで、パフォーマンスを10倍に引き上げることができたという。

 日本法人の事業戦略に関してはカントリーマネジャーの田所隆幸氏が説明。国内は基本的に米国本社と同じ事業戦略を推進する方針としつつ、具体的な注力分野に「エッジコンピューティング」「ロー・レイテンシ・ライブ配信」「ウェブセキュリティ」「中国向け配信」の4つを挙げた。このうち、低遅延のビデオ配信については、9月にサービス提供を始めることにしている。

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