HPE Discover

FordはプロダクトドリブンなIT組織を構築--HPE Discover - (page 2)

末岡洋子

2018-06-21 08:18

顧客の理解にデータを活用ーープロダクトドリブンなIT組織を構築するFord

 エッジ強化により、さまざまな業界がメリットを受けられる。Neri氏によると、北欧のホテルチェーンでは、SD-Branchを利用して顧客向けのWiFi体験を改善しつつ、ホテルのネットワークも簡素化できた。

 またロンドン郊外で建築中のTottenham Hotspurのホームスタジアムでは、Arubaのソリューションを利用して、ビーコンを活用した高速WiFiをファンに提供する。高速なネットワークはマーチャンタイズなど商業面でもチャンスを拡大する。

 ユーティリティではテキサスのCenterPointEnergyが電力グリッドをさらにスマートにすることで、自然災害などがもたらす停電への対策に役立てているという。5年間で収集するデータの量は80%増加し、高速なデータ管理ネットワークを利用して停電を50~70%高速に検出、顧客が電話をする前に解決できるようにした。

HPEのAntonio Neri氏(左)とFordのJeff Lemmer氏(右)
HPEのAntonio Neri氏(左)とFordのJeff Lemmer氏(右)

 これらは、製品と技術に加えて、同社のサービス組織「HPE PointNext」が支援することで実現しているという。

 インテリジェントエッジを必要とする業界の1つが、自動車だ。基調講演では、Ford Motorの最高情報責任者(CIO)、Jeff Lemmer氏が登場し、自動運転などについて語った。

 「自動車は最もデータを必要とし、利用とする業界」とLemmer氏は分析する。具体的には「製造」、顧客に予測メンテナンスなどのメリットをもたらす「データサプライチェーン」、新しい分野として「コミュニティ、シティ」を挙げた。自社の自動運転だけでなく、交通・運輸システム全体が協調するCity of Tomorrowビジョンを打ち出している。

 自動運転では、「2019年末までに米国と中国で販売する新車の100%をコネクテッドカーにする」とLemmer氏はいう。2019年末には世界に拡大、9割の新車をコネクテッドにするというのがFordの計画だ。「車がコネクテッドになると、新しいビジネスの可能性が生まれる」とLemmer氏、だからこそ技術ではなく人間中心のアプローチが必要だと続けた。「顧客が何を必要としているのかを理解し、継続して進化しなければならない」とLemmer氏。

 HPEとは古い関係だが、データの活用のための高性能コンピューティング、ハイブリッドクラウド、従量課金など柔軟な財務モデルの3つを評価している。

 デジタル化にあたって、FordのITチームも変化している。Lemmer氏が率いるIT部門は、「製品主導」としてより小規模なチームで、すぐに価値を提供することにフォーカスして作業しているという。「プロダクトにオーナーをつけることで、顧客の洞察を得て、顧客を理解できるようにしている。機能開発と実装を高速に行うことですぐに価値を届けることができる」(Lemmer氏)。人や文化の変化は簡単ではない、とLemmer氏、ここでもHPEのアドバイスなど支援が役立っている。

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