平均的な企業が必要とするソフトウェアの量は急速に増えている一方で、開発者に対する需要は供給をはるかに上回っている。しかし、業界初の人工知能(AI)が支援するローコードプラットフォームを使えば、開発経験を持つ人材がいなくても、必要なアプリを素早く構築できるかもしれない。
ローコードプラットフォームを提供する企業Mendixの最高技術責任者(CTO)Johan den Haan氏によれば、2020年には、企業の開発職の欠員の数が開発者の5倍になるという。「企業はデジタル化された世界で生き残ろうとしているが、プログラマーの数は足りていない」と同氏は言う。
Mendixは、あまりプログラミング経験を持たない人でもエンタープライズアプリケーションを作成できるようにすることを目標に設立された。それでも、同社と同じ名前のローコード開発プラットフォーム「Mendix」を利用するには、ある程度は開発の基本について知っている必要があった。そこに登場したのが、業界初のAIが支援するローコードアプリケーション開発プラットフォーム「Mendix Assist」だ。このプラットフォームは、15種類の業界で「Mendix」を使って構築された500万件以上の匿名化されたアプリケーションのフローを、機械学習によって分析した結果を基に構築された。
Mendix Assistは、エンタープライズアプリケーションの開発を行うシチズンデベロッパーに対して、次の手順を90%の精度でリアルタイムに提示して誘導するとden Haan氏は述べた。また、アプリの構築中に、品質やパフォーマンス、メンテナンスに関するアドバイスも提供する。プレスリリースによれば、このプラットフォームは開発者の生産性を向上させ、不具合がコストや開発時間に与える影響を100分の1に減少させるという。
このプラットフォームは、アプリケーションロジックの流れに関する提案を行うことで、開発者の生産性を向上させることも狙っている。またプレスリリースでは、Mendix Assistには整合性のチェックと品質の管理機能が組み込まれており(これにはセキュリティ設定の整合性、ソフトウェアのメンテナンス性、アプリケーションの拡張性が含まれる)、通常の分析では見つからない問題を発見して、開発の過程で実用的なフィードバックを提供できると説明されている。
den Haan氏は、「経験を積んだMendixユーザーのベストプラクティスを、ほかのユーザーに対するバーチャルコーチとして利用することができる」と述べている。「例えばMendixで視覚的なモデルを構築している場合、Mendix Assistがユーザーを誘導し、ユーザーの意図と、作成中のモデルで実現しようとしていることを予想する。それに基づいて、90%の精度で次のステップを提案する」