日立製作所は6月27日、人工知能(AI)を活用した「チャットボットサービス」を発売した。企業内に蓄積された業務知識をもとに必要なシナリオを作成、適切な回答を自動で自動応答する。AIを使った学習機能により、回答精度を効率的に高められる。チャットボットの運用負担を軽減できる。利用料金は個別見積り。
チャットボットサービスの概要図(出典:日立製作所)
今回の商用化に先立ち、2017年11月から2018年3月にかけてグループ内業務で試行運用を実施した。具体的には、年末調整に関する問い合わせを受けるヘルプデスク業務において、オペレーターによる電話やメールでの対応と並行してチャットボットを設置、それによってオペレーターへの問い合わせ件数が前年度比で20%減少した。
一問一答で会話を進める「QA対話」、あらかじめ定めた流れに沿って会話を進める「シナリオ対話」、質問者に聞き返して不足情報を補う「誘導型対話」――の3つの対話方式をサポートする。
学習機能については、質問の単語や言い回しの違いにより、チャットボットが適切な回答を判断できない場合、質問内容の理解が正しいか質問者に聞き返し、同義と分かった単語や言い回しはナレッジとして蓄積していく。さらに、コールセンターなどの既存システムに蓄積されている対話履歴を分析してチャットボットのFAQとして活用する機能を持ち、FAQ登録の作業負担を軽減する。FAQ・業務シナリオの作成、試行運用による導入効果の検証、業種・業務別のカスタマイズ、回答精度向上のためのチューニングといった、導入・運用に掛かる作業も一括して支援する。
問い合わせ対応の自動化だけでなく、業務システムへの照会・変更・登録などの運用作業をチャットボットに代行処理させることも可能だ。担当者はチャットボットに指示するだけでよくなり、業務の効率化や人為的なミスの低減が可能となる。