海外コメンタリー

ブロックチェーンは電子投票を進展させる鍵になるのか

Danny Palmer (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-08-06 06:30

 選挙というのは、民主主義社会を支える重要な柱の1つだが、投票プロセスは、インターネットの力が強大になっていくとともに、ますます脅かされるようになってきている。

 電子投票で用いられる投票ブースをめぐってはセキュリティ上の懸念が存在しており、ハッキングやサイバー攻撃に対する脆弱性がリサーチャーらによって警告されてきている。そうした脆弱性が悪用されれば、選挙に対する信頼性が根底から覆されかねない。

 一部の人々は、選挙におけるセキュリティの強化や、精度、効率の向上を目的として、ブロックチェーン技術の実装を主張している。

 ブロックチェーンとは、取引の記録後は関係者全員の同意なくしては変更できないようにした、中央集権的な要素を排した分散型電子台帳だ。そして、台帳に記録された内容の順序を確定するには膨大な数のネットワークノードからの合意を得る必要がある。

 ブロックチェーンの最も有名な応用事例がビットコインの取引だ。しかしその他にも、医療記録の格納から、物理的な商品取引の認証に至るまでのさまざまなユースケースに広がってきている。そして、政府機関がブロックチェーン技術の潜在的なユースケースを調査するほどまでに興味が高まっている。

 ブロックチェーンの利用と選挙に関する事例についても報じられている。3月に実施されたシエラレオネ共和国の大統領選挙では、スイスに拠点を置く企業Agoraが国際監視団として選挙の開票作業に参加し、ブロックチェーン台帳を用いた開票作業がどのようになるかという実験を、実際の開票作業とは独立したかたちで実施したという。

 ただこれは、ブロックチェーンベースの選挙に向け、その実現可能性を探るための実験とでも言うべきものであり、実際の開票作業に使用されたわけではない。ブロックチェーンは投票ではなく、そのセキュリティを検証する目的で用いられたのだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]