日立キャピタルと日立製作所は9月27日、人工知能「Hitachi AI Technology/H(AT/H)」を用いて、中小企業向けの小口融資審査業務に関する実証実験を行ったと発表した。
日立のAT/Hは、ビジネスに関連するあらゆるデータを網羅的に分析し、売り上げやコスト、業務の達成度など、組織が求める重要業績評価指標(KPI)との相関性が強い要素と、KPIを改善する施策の仮説を効率的に導き出すもの。
5〜8月に実施した実験では、過去数年分の審査情報や関連する信用情報などのデータと回収結果との相関関係を分析することで、融資可能と判断できる条件の組み合わせを導き出し、与信の自動判断が可能な範囲を拡大するための独自のスコアリングモデル式を構築した。
このスコアリングモデル式を用いて融資可否のしきい値を算出することで、自動審査可能な案件数を増やせる。これまで人間が個別に判断していた案件を自動化し、全体案件数のうち自動審査の割合を従来の約7割から約9割まで向上できた。
日立キャピタルの子会社でベンダーソリューション事業を手掛ける日立キャピタルNBLは、中小企業向け小口融資審査業務を行っている。ベンダーソリューション事業は、提携関係にあるベンダー(販売店)の販売促進などのニーズに対し、リースやクレジットなど幅広いソリューションを提供するもの。
日立キャピタルグループでは、同事業を日立キャピタルNBLへ集約し、積極的なIT投資によるフロント機能の強化や業務の簡素化・標準化などの施策と、これらを通じた働き方改革を推進している。