“使い続ける”か“乗り換える”--SAP ERPの「2025年問題」を考える

藤本和彦 (編集部) 2018年12月14日 07時00分

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 独SAPの提供する「SAP ERP」および「SAP Business Suite」の保守期限が2025年に終了する。国内で2000社以上が導入していると言われており、SAPユーザーが対応策を迫られることになる。

 SAP ERPは、世界的に高いシェアを持つ大手企業向けの基幹業務システムパッケージ。SAP Business Suiteは、SAP ERPに加え、CRM(顧客管理)、SCM(サプライチェーン管理)、PLM(製品ライフサイクル管理)などで構成される製品群。2025年に保守期限切れとなる各製品は次の通り。

  • SAP ERP 6.0
  • SAP CRM 7.0
  • SAP SCM 7.0
  • SAP SRM 7.0
  • SAP PLM 7.0

 また、インメモリデータ処理基盤「SAP HANA」をベースとした「SAP Business Suite powered by SAP HANA 2013」の保守期限も2025年までとなっている。もともとの期限は2020年だったが、その導入件数の多さから延長された経緯がある。2025年の期限が再度延期される可能性は低いだろう。

 そこで、マイクロソフトとアクセンチュアの合弁会社で、世界規模のERP導入・構築を数多く手がけるアバナードにSAPの2025年問題への対応策などを聞いた。同社によると、大まかに「SAPを使い続けるか」「別システムに乗り換えるか」という選択肢がある。

ERP 2025年問題への対応策
ERP 2025年問題への対応策(出典:アバナード)

 SAPを使い続ける場合は、2015年に発表された最新のERPである「SAP S/4HANA」への移行が一般的な流れになる。S/4HANAは、インメモリ技術を駆使した高速・大容量のデータ活用が可能になる反面、データベース環境がHANAのみの対応になるため、多くのユーザーでデータベースの移行も必要になる。

 「SAP S/4 HANAに移行するにはそれなりの手間と労力がかかる場合がある。データベースをOracle DatabaseやMicrosoft SQL ServerからHANAに置き換える点や、一部のマスターも変更されているため、アドオンプログラムには修正が必要なものもある」とアバナードでマネジャーを務める小林正典氏は話す。

アバナード マネジャーの小林正典氏
アバナード マネジャーの小林正典氏

 アバナードでは、ERPのシステム移行を支援する「クイックアセスメントツール」を用意する。これは、出資元であるアクセンチュアの「Accenture System Diagnostic for SAP(SAP環境分析ツール:ASD)」で現状を分析し、その結果をもとにアバナードの見積もりツールで概算費用と効果を診断するもの。

 ASDでは、現状の組織構造やビジネスプロセス、アドオン機能などを分析する。アバナードの見積もりツールでは、開発期間やライセンス費、導入費用、保守費用などを算出する。既存資産を生かすプランは、ツール分析の結果をもとに最短6カ月での以降を実施する。

 業務システムを再構築する(別システムに乗り換える)プランは、アクセンチュアと、同じく出資元のマイクロソフトのベストプラクティスを統合した「Avanade Connected Methods(ACM)」を活用したシステム構築を実施する。最短1年でのERP移行を可能にする。

 「既存資産を生かせるか、新規に作り替えるかは、アドオン機能の多さで変わってくる。アドオンが多いユーザーほど、既存資産を生かしたコンバージョンを望むのではないかと想定している」(小林氏)

 また、アバナードでは、アクセンチュアの持つ知識・経験とマイクロソフトの提供するERP「Dynamics 365 Finance and Operations(Dynamics365 FO)」プラットフォームを融合した「Avanade Intelligent Enterprise Solution (AIES)」を提供する。

アバナード ディレクターのGlen Bedjanian氏
アバナード ディレクターのGlen Bedjanian氏

 「アクセンチュアの業務知識とマイクロソフトのテクノロジを掛け合わせられるのがアバナードの強みだ」とアバナード ディレクターのGlen Bedjanian氏は話す。

 Dynamics365 FOについては、開発ツール・データ分析ツール・IoT基盤、AI基盤など、マイクロソフトが提供するさまざまなサービス群との連携により、ERPの刷新だけにとどまらない、より広範な業務改革(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が可能になるという。

 「ERPの刷新を契機に、新たな試みにもチャレンジできるようにならないといけない。例えば、ERPに蓄積した会計・販売・購買のデータを可視化したり、Azureとの連係によりIoT基盤やAI機能の活用が可能になる」(小林氏)

アバナードが手がけるERP移行プラン
アバナードが手がけるERP移行プラン

 アバナードは、資本の関係からマイクロソフトのプラットフォームをベースとしたソリューションが中心と思われがちだが、「顧客にとって最善とは何かを追究する姿勢で取り組んでいる」(同氏)とし、ERP移行についてもDynamics365 FOありきではないことを強調した。

 「SAPを使い続けることに疑問を持つ顧客にはDynamics365 FOを提案するし、SAPを使い続けたいという顧客にはSAP on Azureでクラウド移行をサポートする。ビジネスパートナーとして支援していきたい」(小林氏)

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