食料、水、住居、そして人工知能(AI)か。Salesforceの最高経営責任者(CEO)であるMarc Benioff氏の予想が正しければ、AIが人権として認められる日がやってくるかもしれない。
何を人権と見なすかは、国、社会、文化によって、さまざまだ。しかし国連は2016年に、インターネットへのアクセスを基本的人権として認める決議案を可決した。
拘束力のない決議だが、国連がインターネットの意図的な遮断を、人権侵害と見なしていることに違いはない。
いずれ、AIを基盤とするサービスやシステムの利用を阻むことも、同様に非難されるかもしれない。
AIは、技術を定義する際に使用されている総称で、自然言語処理、画像認識、機械学習(ML)、データ分析、認知コンピューティングなどが含まれる。
これらの革新技術は、現代における産業プロセスからソーシャルメディアまで、あらゆるものを変革する可能性を秘めている。Benioff氏はこうしたシステムの利用が、未来を形作る可能性が高いと考える。
Business Insiderの報道によれば、同氏はスイスで現地時間1月22日より開催されている世界経済フォーラムで、AIが「新しい人権」になりつつあると述べた。
インターネットへのアクセスが「デジタルデバイド」、すなわち居住地や経済レベルによって、信頼できる安定したインターネットサービスを「利用できる人」と「利用できない人」を生み出したように、AIも同種の格差を引き起こす見通しだ。
Benioff氏によると、AIは誰もが必要とするサービスになる。AIを持つ国が「よりスマートに、健康に、豊かになる」一方、持たない国は「より弱く、貧しく、教育不足になり、病んでいく」と同氏は語った。
さらに同氏は、AIの機能を持つ国は、最も高度な戦闘能力を手中に収めるだろうと述べた。そして、軍事力が資源の獲得に関わる場合が多いことはよく知られている通りだ。Facebookなどの企業が、AIの倫理的意味を見極めようとする一方、現実とデジタルの両方の世界で、AIの能力が兵器化され始めている。
アムネスティ・インターナショナルのSalil Shetty氏によると、データドリブンなシステムとAIの民間利用は、少数派や貧困者に対する社会的差別を生む可能性がある。しかし、これらの技術をオープンソース化すれば、「人間が持つ偏見を助長するのではなく、データのバイアスを検出して補正するAIシステムを開発できる」という。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。