サイボウズLive移行の勘所--サイボウズと“ミスターkintone”に聞く

藤代格 (編集部)

2019-02-04 07:00

 4月にサービスの終了を控え、ユーザーとしてもいよいよ移行問題に決着をつける必要が出てきたサイボウズLive。前回の記事では移行先となる各ベンダーの声を紹介したが、サービスを提供してきたサイボウズ(中央区)としてはどう考えているのだろうか。

サイボウズLive、一番似ている製品とは?

サイボウズの和泉氏
サイボウズの和泉氏

 サイボウズのビジネスマーケティング本部でプロモーションデレクターを務める和泉純子氏は、「サイボウズLiveと全く同じように使える製品はサイボウズには存在しない」と説明。移行に適したといえるサービスは他社も含めて存在しないと考えているという。

 その理由はサービスのコンセプトにある。同社の商用グループウェア「サイボウズoffice」はもちろん、情報の共有や連絡を用途に想定するサービスは、企業全体や部署内、プロジェクトなど、いずれかの“特定のグループ内”での利用が前提になるという。情報の共有のためにそのサービスがグループ内で必要となり、その“特定のグループを構成するユーザー”同士での使用が想定になるという。

 一方、サイボウズLiveは特定のグループでの利用に絞る必要はない。あくまでユーザーが自分で登録をして、招待さえあればいくつでもグループに平行して参加でき、上限もない。一人のユーザーを起点に、不特定、複数のグループに参加できる“自分を中心に広めていく”ものであるという。このように、コンセプト、サービスの考え方が異なるため、同じように使えるサービスは存在しにくく、適した移行先となり得るサービスもない、と考えているようだ。

サイボウズLiveでのグループはあくまで平行して存在。ユーザー自身が選択し、参加していく(出典:サイボウズ)
サイボウズLiveでのグループはあくまで平行して存在。ユーザー自身が選択し、参加していく(出典:サイボウズ)

サイボウズLiveは“複数の団体”が前提

サイボウズの岩下氏
サイボウズの岩下氏

 サイボウズとしてもサイボウズofficeやノンプログラミング開発ツール「kintone」への移行を促してはいるが、この概念の違いに配慮して案内しているという。ビジネスマーケティング本部でビジネスプロダクトマネージャーを務める岩下朗子氏は、「どういう使い方をするのかの見極めが重要」と力を込める。どの機能を使うかのほか、“一つのグループでの使用か、複数にまたがるか、ユーザーなどの第三者が入るか”などの使用するグループの属性や、“セキュリティ、アクセス権にこだわるか”なども注意してほしいという。「場合によっては複数サービスを平行使用したほうがいいこともある。グループごとで検討してほしい」(岩下氏)

 移行先と同様に極めて重要な要素と位置づける点が、移行するデータの確保だ。「そっくり移行できる製品はサイボウズにもないため移行ツールは提供できていないが、それでもデータのダウンロード日程に制限はあり、期限を過ぎるとデータにアクセスできなくなる」(和泉氏)と懸念を語る。

 期限前にアクセスが集中することも考慮していると語るが、サイボウズLive登録者200万人の中には多種多様なユーザーが存在。メールアドレスのみで登録できるサービスだったこともあり、サイボウズで現状が把握しきれない休眠ユーザーのような方も多いという。

 できる限り多くの人々に周知できるよう、自社イベントで配布するノベルティとして缶バッジも作成。“サイボウズLive終了”アナウンスの認知向上に努めている。「期限を過ぎるとデータにアクセスすらできなくなり、移行そのものもできなくなってしまう。明確な管理者が不在なグループなども考慮し、データのダウンロードに管理者権限をつけなかった。とにかく早めのダウンロードをお願いしたい」(和泉氏)

感謝の意を込めたノベルティの裏側で終了を周知
感謝の意を込めたノベルティの裏側で終了を周知

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]