「Firefox」にサイト分離機能の計画--「Chrome」に続き

Catalin Cimpanu (ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 (ガリレオ)

2019-02-07 12:49

 1年間にわたる極秘の準備期間を経て、Mozillaは米国時間2月6日、「サイト分離」機能を実装する計画を公式に発表した。この機能は、「Firefox」のコードをドメイン(サイト)ごとに別々のOSプロセスに分割することで実現する。

 この機能の元となる概念はすでに「Chrome」に存在しており、目新しいものではない。Googleは2018年5月、この機能をすべての顧客に向けて段階的に提供し始め、同年の7月までにChrome 67ユーザーの99%に提供した。

Chromeのサイト分離機能
Chromeのサイト分離機能
提供:Google

 Chromeの「サイト分離」機能は、リリースの数年前にChromeブラウザのセキュリティ機能として開発されていたが、リリース時期がCPUの脆弱性「Meltdown」と「Spectre」に関する情報の公開と重なった。サイト分離は、それが主目的というわけではなかったが、これらの脆弱性の影響を阻止することになった。

 Mozillaも、Firefox内のさまざまなJavaScript機能の精度を下げる形で、MeltdownとSpectre用のパッチを配信した。Mozillaは、CPU脆弱性に対するGoogleの取り組みについて、以後の同様の攻撃や他の多くのセキュリティ問題の防止にも役立ったため、より優れたものだと考えた。

 Mozillaの開発者であるNika Layzell氏は、6日のニュースレターで、2018年にChromeと同様のサイト分離構造に取り組み始めたと述べている。このプロジェクトは社内で「Project Fission」というコードネームで呼ばれていたという。

 「この1年間、Fissionの土台作りに取り組み、新しい内部構造を設計してきた。この先の数週間から数カ月間、われわれが開発したコードを『post-Fissionブラウザアーキテクチャ』に組み込むため、全Firefoxチームの支援が必要だ」とLayzell氏は述べている

 Layzell氏が言及している「post-Fissionブラウザアーキテクチャ」は、Chromeの現在の仕組みと似ている。Mozillaの開発者も、ユーザーがアクセスしているウェブサイトごとに、別々のプロセスに分離する計画だ。

 Firefoxは現在、ブラウザのユーザーインターフェースを1つのプロセスでまかない、ウェブサイトをレンダリングするFirefoxのコードを少数のプロセスに分割している。

 Project Fissionでは、後者のプロセスが変わり、ユーザーがアクセスしているウェブサイトごとに、分離したプロセスが作成される。

 この分離はChromeと同じく非常にきめ細かいので、ページ内にiframe(閲覧中のウェブサイト内に他のウェブサイトを読み込むHTML要素)があれば、そのiframeにも独自のプロセスを割り当て、不正なコードをiframe内に隠す攻撃者からユーザーを保護するのに役立つ。

 Layzell氏は今後も、自身のGitHubサイトで公開するニュースレターで、Project Fissionへの取り組みに関する最新情報をFirefoxユーザーに提供していくという。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]