Blue Prismが力説する「日本企業にサーバ型RPA」が不可欠な理由

鈴木恭子

2019-03-01 08:00

 ロボティックプロセスオートメーション(RPA)ベンダー大手の英Blue Prismは2月27日、東京都内で「RPA・デジタルワークフォース カンファレンス 2019」を開催した。すでに欧米では導入が進むRPAだが、日本で導入企業が増加したのは2017年頃と遅い。カンファレンスではBlue Prismのユーザー企業の事例やパートナー企業によるBlue Prism導入の取り組みなどが紹介された。

デスクトップ型はスケールに限界がある

 冒頭、Blue Prism日本法人社長のPaul Watts(ポール・ワッツ)氏は、「Blue PrismはRPAという概念を作り上げてきた会社であり、RPAのイノベーターであると自負している。働き方改革を必要としている日本においては、企業にとってRPAは必須となる」と指摘した。

Blue Prism日本法人 社長 Paul Watts氏
Blue Prism日本法人 社長 Paul Watts氏

 2018年12月に発表された「労働生産性の国際比較 2018」によると、日本の労働生産性は、OECD加盟36カ国中20位であり、主要先進7カ国の中で最も低い。労働生産性を向上させるためには、業務プロセス全体の最適化とルーティン作業の自動化が求められる。

 Watts氏は「Blue Prism日本法人が日本で本格的活動を開始したのは2017年11月と(他のRPAベンダーと比較して)遅いが、多くの企業でBlue Prismの価値を理解していただいている」と説明する。

 Blue Prismのソフトウェアは、個々のPCエージェントをインストールし、その作業内容を自動化する「デスクトップ型」ではなく、ソフトウェアをサーバにインストールする「サーバ型」だ。現在、日本ではデスクトップ型の採用が多いが、それでは業務プロセス全体の自動化やスケールアウトは難しいとWatts氏は説く。

 「日本ではデスクトップ作業を自動化するツールが増加している。しかし、業務全体を変革するデジタルワークフォースは、デスクトップ自動化だけでは不十分だ。業務全体を変革するには、幅広い業務領域を包含する必要がある」(同氏)

Blue Prism CTO David Moss氏
Blue Prism CTO David Moss氏

 基調講演に登壇した英Blue Prismの共同創立者で最高技術責任者(CTO)のDavid Moss(デビッド・モス)氏も「デスクトップの自動化は“RDA(Robotic Desktop Automation)”であり、企業の成長に沿ったスケールが難しい。Blue Prismの全体を包含した業務プロセスの自動化に対する哲学とアプローチは、RDAとの発想とはまったく異なる」と訴求する。

 そもそもBlue Prismは、英国の四大銀行の1つであるBarclaysの業務支援過程で誕生したものだ。Moss氏は製品誕生のエピソードを以下のように紹介する。

 「Barclaysは大組織だが、その支援で痛感したのは『部門のサイロ化が成長のスピードを阻害していること』だ。例えば、顧客部門で実現したいアイデアはあるが、部門内にはIT技術者はいないしツールもない。だから(外注である)われわれがスクリプトを書いて対応し、顧客部門のアイデアは実現した。しかし、組織全体で見た場合、ITを統括するIT部門にしてみれば、自分たちの関与しないところで、知らないITが稼働しているという不満がある。こうした課題を解決するには、ビジネス部門の要望で業務の自動化を図りつつ、金融機関ならではの監査証跡やガバナンス、セキュリティを担保する必要があった。『ビジネス部門(作業の)自動化』と『全社的な統制』を同時に実現するのが、中央集権型のサーバ型だった」(Moss氏)

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