大手信販会社のジャックスは、カスタマーセンター業務に人工知能(AI)技術を導入した。顧客からの問い合わせに対する回答候補をオペレーターの画面に自動表示する「応答支援システム」を構築し、3月に利用を始めた。
カスタマーセンターでは、商品の問い合わせなどに関する回答マニュアルや、キャンペーン情報などを紙文書やデータベースで管理していた。これまで、新人社員は、多くの商品情報を網羅する複雑な紙文書などの理解が求められ、顧客対応が可能になるまで長期間の研修が必要だった。
応答支援システムでは、多量のマニュアル類を「IBM Cloud」上で一元管理した上で、日本語解析エンジンと類似文書検索エンジンを連携させることで、オペレーターの迅速な応答を支援する。
オペレーターが顧客の問い合わせを受けると、会話の内容が自動でテキストに変換され、テキストマイニングツール「IBM Watson Explorer」と類似文書検索エンジン「Similarity Search」でテキスト分析とマニュアルの検索が行われる。オペレーターの画面には、回答候補が即時表示される仕組みとなっている。通話時間や保留時間を短縮するほか、業務の習熟度を問わず顧客に高い品質で対応できるようになる。
回答候補が正しかったかどうかをシステムにフィードバックすることで、システムは機械学習を繰り返し、回答精度を高めていくことが可能だという。AI技術の導入により、新人オペレーターの研修時間を3割ほど短縮できると見込む。また、研修担当者とオペレーターの業務負荷も軽減する。