聖徳学園、中高生の授業に手書きノートアプリ活用--生徒との関係性も変化

藤代格 (編集部)

2019-03-11 07:15

 聖徳学園中学・高等学校(武蔵野市)は、学校向け手書きノートアプリ「MetaMoJi ClassRoom」を導入。日常的に様々な授業に活用し、生徒と教師のコミュニケーションを促進しているという。3月8日、開発、提供するMetaMoJi(港区)が発表した。

 聖徳学園では、2015年度の新中学1年生からそれぞれがiPad1台ずつを活用。現在は中学1年生から高校1年生までが所有しているという。

 中学生向けに直感的な操作性を重視した授業支援システムを導入する一方、高校生には論理的思考に基づく物や情報の管理、友人とリアルタイムでの意見共有、協働作業などの必要性を感じていたという。フォルダやノートの管理、同時編集や意見共有など、ビジネスライクに使える授業支援システムとして採用したとしている。

 様々な授業で活用しており、たとえば数学の場合、小テストの振り返りに活用しているという。MetaMoJi ClassRoomのノートで小テストを作成、生徒が書き込んだ解答を採点。各生徒の解答をスクリーンに一斉表示しながら解説でき、減点された解答や他の解き方を見せ、抑えるべきポイントを説明できるとしている。

生徒の回答を見ながら説明できる(出典:MetaMoJi)
生徒の回答を見ながら説明できる(出典:MetaMoJi)

 小テスト以外でも活用している。従来、授業の板書はPowerPointで作成したスライドを映写していたが、現在は板書を生徒のiPadに配信している。板書を写す作業を省いたという。説明にあわせた例題の解答、ポイントの加筆など、生徒が聞くことに集中できる環境を創出しているという。

 演習問題を解く際には、各生徒の解答をリアルタイムに採点可能。板書に書き込む形式では一部の生徒の回答しか把握できなかったが、全員の進捗状況の把握、回答の瞬時なスライド提示などが可能。途中でつまずく生徒への個別説明、全体の進捗を見ながらヒントの提示など常に生徒の理解を把握した授業ができているという。予想外の部分での生徒の苦戦など新たな発見もあり、結果として授業の効率が上がっているとしている。

 授業の最後には、生徒は内容の理解に対する自己評価、授業の感想、学んだ内容や宿題、小テストの実施日などをリフレクションシートに記入。回収や保存の手間を省きつつ、学習記録を週単位で記録できるという。授業に対する指摘や要望、授業を受ける態度の反省を書き込むなど教師に対して言いづらかったことを書き込む生徒もおり、関係性や距離感も変わってきたとしている。

リフレクションシートで記録(出典:MetaMoJi)
リフレクションシートで記録(出典:MetaMoJi)

 従来の授業において重点が置かれていた“いかに分かりやすく教えるか”から、現在は“どのように力として身につけられるか”に注力できているという。蓄積された生徒の学習ノートを活用し、個別対応をより充実させられるとしている。

 また、解答の一斉表示、情報共有や意見交換の増加によって“見られることが当たり前”“自分の知識はシェアするもの”といった考え方が浸透。情報発信をすればフィードバックが得られるというメリットも把握でき、学習環境がオープンになったという。生徒同士が教え合う場面が増え、カジュアルな学びの場が生まれているとしている。

 MetaMoJi ClassRoomは、書き込みや画面共有などで授業を支援するアプリケーション。4月1日からは動画機能や先生の模範解答提示機能などを追加したバージョンアップ版を提供するという。

 「MetaMoJiクラウド」を利用するクラウド版と、学校内にサーバーを設置するオンプレミス版となり、クラウド版は年間利用料が1ライセンス4800円、ライセンスあたりの容量は100Gバイト。

 オンプレミス版の価格は要問い合わせだが、1サーバあたりの上限は200ライセンスとしている。

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