マーケティングへの活用で広がりを見せるNECのAI技術群の可能性

松岡功

2019-03-20 07:50

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、NECとマクロミルが共同開発した「インサイトマーケティングサービス」である。

マクロミルと「インサイトマーケティングサービス」を共同開発

 NECとマクロミルが先頃、人工知能(AI)や生体情報を活用した「インサイトマーケティングサービス」を共同開発し、4月から順次提供開始すると発表した。具体的には、生体情報を活用した会場調査サービスと、AIを活用した生活者購買を予測するサービスで、先行して1月から提供開始したAI分析サービス「D-Profile」と合わせて展開する。

 これらのサービスは、NECが提供するAI技術群「NEC the WISE」を用いて、マクロミルが保有する多様な生活者起点のデータ(年齢などの属性情報、購買履歴、アクセスログなど)や、脳波、視線などの生体情報を分析することで、これまで以上に生活者のニーズを深堀し、新たなインサイトを発見するものである。

 これらのサービスを活用することにより、アンケート調査や会場調査では見出せない生活者の無意識な反応や行動情報を可視化し、企業は生活者のより深いインサイトをマーケティングや商品開発に活かすことが可能となる。(図1)

図1:インサイトマーケティングサービスの概要(出典:NEC)
図1:インサイトマーケティングサービスの概要(出典:NEC)

 生体情報を活用した会場調査サービスでは、マクロミルの実施する会場調査においてNECのAI技術「遠隔視線推定技術」やマクロミルグループのセンタンの「脳波測定技術」を活用し、生体反応を定量的に測定する。このサービスでは、棚前テストと個別パッケージテストを用意している。

 店頭の棚を再現した中で新商品を評価する棚前テストでは、従来のような視線測定装置を身体に着用することなく、より自然な状態で調査を実施することができる。新商品を評価する個別パッケージテストでは、視線と脳波を組み合わせることで、デザイン要素別にポジティブ・ネガティブのどちらに働くかを示す。これらの調査を合わせて消費者の興味を引く度合いとなるエンゲージ力を、視線の推移と心理面の両面で指標化することが可能だ。

 なお、このサービスは先行して2018年9月に実証実験を実施し、従来のアンケート調査では明らかにすることが困難だった、「最初に商品のどこを見たのか」「どの商品と比較したのか」、さらには「それがネガティブ・ポジティブのどちらに働いたのか」などの商品選択過程における生活者のリアルな反応を把握できることが実証されている。

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