Synopsys、統合基盤「Polaris」公開--コーディングと脆弱性チェックを同時並行

鈴木恭子

2019-03-22 08:00

 電子設計自動化(EDA)や半導体IPなどの製品を手掛けるSynopsysは3月4日、米サンフランシスコで開催されたセキュリティの総合イベント「RSA Conference 2019」(3月4~8日)でソフトウェアの開発から実装までのセキュリティリスクを管理する統合プラットフォーム「Polaris Software Integrity Platform(Polaris)」を公開した。

 Polarisは、これまで個別の管理が必要だった同社の各ツールやサービスを、単一の環境で管理できるようにするもの。同社では「Polarisを利用することで、ソフトウェア開発やセキュリティ対策に携わる部門は、セキュアで高品質なソフトウェアを短期間で開発できる」としている。

 Synopsysは近年、積極的な買収でソフトウェアセキュリティに関する事業も主力の1つに位置付けている。2014年2月にはソースコードの静的解析ツールの米Coverityを、2015年4月には脆弱性テストツールを開発するフィンランドのCodenomiconを、そして2017年11月にはオープンソースソフトウェアを管理する米Black Duck Softwareを買収した。

 Polarisはこうしたソフトウェアやツールを、1つのプラットフォームに統合したもの。統合開発環境(Integrated Development Environment:IDE)プラグインの「Polaris Code Sight」と、ビルド/テスト環境の「Central Server」で構成され、単一の画面上から操作できる。Coverity、Seeker、Black Duck、マネージドサービスのユーザーであれば、無償で利用できる。

Polaris Software Integrity Platformの構成要素とその仕組み
Polaris Software Integrity Platformの構成要素とその仕組み

 Polaris Code Sightは「IntelliJ」「Visual Studio」「Eclipse」といったIDEに対応している。開発者はSynopsysが提供する機能を、通常利用している作業環境に組み込める。これにより、コーディングしながら同じ環境内でセキュリティの欠陥や脆弱性を発見、修正できる。

 Central Serverはクラウド環境で提供されるので、デプロイメントの管理、セキュリティスキャンの実行などが可能。また、既存の開発環境のほかに「Jenkins」「Jira」「Slack」「Red Hat OpenShift」「Kubernetes」といったツールを利用し、セキュリティテストとポリシーの適用も自動化できる。

プロダクトマネジメント担当シニアディレクター  Ravi Iyer氏(左)とシニアプロダクトマネージャー Utsav Sanghani氏
プロダクトマネジメント担当シニアディレクター Ravi Iyer氏(左)とシニアプロダクトマネージャー Utsav Sanghani氏

 米SynopsysでシニアプロダクトマネージャーのUtsav Sanghani(ウトゥサフ・サンガニ)氏は、「開発者にとっての課題は、コードの解析やテストに手間を取られ、コードを書く作業を中断しなければならないことだ。この課題を解決するには、バックグラウンドでコードの解析やテストを自動実行し、ジャストインタイムで欠陥や脆弱性を可視化することだ」と説明する。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]