ストレージのCohesity、ソフトバンクと合弁で日本法人を設立

渡邉利和

2019-03-22 11:30

 米Cohesityとソフトバンクは3月20日、両社の合弁会社として「Cohesity Japan株式会社」の設立を発表した。Cohesityソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先でもある。Cohesity Japanの設立は2018年11月2日だが、本格的な業務開始のタイミングとして今回の発表に至ったという。なお、国内販売は100%パートナーモデルで、ディストリビューターとしてSB C&Sとネットワールド、リセラーとしてソフトバンクと伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が名を連ねる。

 Cohesity Japanの代表取締役に就任した江尾浩昌氏は、合弁会社設立に際しての2社の役割について、Cohesityは「最新データインフラストラクチャテクノロジーを提供」とし、ソフトバンクは「充実した企業販売支援と国内代理店ネットワークを提供」と説明、その上でCohesityのテクノロジについて「スマートフォンが実現したのと同様のことをエンタープライズITでも実現する」と語った。

Cohesityのソリューション・アーキテクチャ。最下部に4つ並べられたメリットがスマートフォンが実現したものと同等だというのがCohesityの特徴という
Cohesityのソリューション・アーキテクチャ。最下部に4つ並べられたメリットがスマートフォンが実現したものと同等だというのがCohesityの特徴という

 同氏は、企業が保有するデータを「“プライマリ”と“セカンダリ”の2つに分類し、その割合をプライマリが20%、セカンダリが80%だとした。セカンダリデータに含まれるのは、ファイル共有やバックアップ、アーカイブ、テスト/開発用データなどで、端的に言えば主要業務アプリケーションが日々アクセスしているオンラインデータ以外の全て――という感じになる。

 そして、これらの膨大なデータ群は統一された形式や管理手法も存在せず、用途ごとにバラバラに保管や管理、利用され、「マスデータ断片化(Mass Data Fragmentation)」という状況にあるという。近年はこの環境にさらにクラウドが加わったことでデータの所在が増加した上に、可視性が劣るということになって、さらに問題が複雑化しているという。

 この状況に対応する同社のセカンダリ・ストレージは、セカンダリデータを一括して格納し、活用可能とする一元的なデータプラットフォームを提供する。ここで提供される主要なメリットは、「1つのプラットフォーム」「ひとつのユーザーインターフェース(UI)」「機械学習による効率化」「アプリ実行」の4つに整理できるが、これらは全てスマートフォンが実現したものと同じだと江尾氏は説明する。スマートフォンは、電話やPC、PDA、デジタルカメラといった用途ごとにバラバラだった機器を1つにまとめて統一されたUIで操作できるにし、さらにアプリケーションストアというコンセプトによって、ユーザーが柔軟に機能をカスタマイズできるようにした。

 このスマートフォンがもたらしたイノベーションと同様のインパクトをエンタープライズITにもたらしたいというのが、同社のビジョンだという。具体的な製品としては、アプライアンス型のセカンダリ・ストレージ製品と、クラウド上のサービスとして同等の機能を提供する「Cohesity DataPlatformクラウドエディション」が核となる。

ソフトバンク社内でのCohesity活用事例。東京、神奈川、大阪の3拠点のデータセンターでそれぞれ運用されているという
ソフトバンク社内でのCohesity活用事例。東京、神奈川、大阪の3拠点のデータセンターでそれぞれ運用されているという

 ソフトバンク側の代表として登壇したソフトバンク 常務執行役員 法人事業統括 法人事業戦略本部長の藤長国浩氏は、同社の方針として「出資先企業と合弁会社を設立して日本国内でのビジネスを推進する」取り組みが行われているとして、今回の件のみならず、既に他社でも同様の取り組みを行なった例があるとした。また、同社では既に社内でCohesity製品の活用を開始しており、その運用経験から得られたノウハウも含めて顧客に提供していくと語った。当面は、運用が簡単なバックアップソリューションとしてCohesity製品の拡販に取り組む計画だという。

 なお、日本での本格的な事業開始にあたってキャンペーンを実施することも発表された。「DataPlatformクラウド版キャンペーン」は、Cohesity DataPlatformクラウドエディション(20テラバイトのサブスクリプション)を1年間無償で提供するというもの。2019年3月20日から60日間、プログラム専用サイトから応募を受け付け、限定100社に提供される(応募多数の場合は早期締め切り)。また、「アーリーアダプタープログラム」はアプライアンス版を初期トライアル導入するユーザー企業が対象で、「Cohesity C4300スタンダードモデル(物理48テラバイト)」を1社1台に限り、月額9万9800円で36カ月リースする。応募期間は5月20日までで、限定50社(応募多数の場合は早期締切)としている。

Cohesity Japan 代表取締役の江尾浩昌氏(左)とソフトバンク 常務執行役員 法人事業統括 法人事業戦略本部長の藤長国浩氏
Cohesity Japan 代表取締役の江尾浩昌氏(左)とソフトバンク 常務執行役員 法人事業統括 法人事業戦略本部長の藤長国浩氏

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]