大阪市役所などが翻訳サービス「VoiceBiz」を採用。多言語コミュニケーションにおける課題を解決すべく、2019年4月から順次導入するという。5月8日、開発、提供する凸版印刷(台東区)が発表した。
2018年12月に改正、2019年4月に施行された出入国管理及び難民認定法(入管法)に伴い、外国人労働者の受け入れ拡大、在留外国人の増加が予想されている。自治体窓口、保護者面談や生徒とのコミュニケーションといった学校現場など、様々な場面で発生する“言葉の壁”が問題になると指摘されている。
利用イメージ(出典:凸版印刷)
VoiceBizは、App StoreやGoogle Playからダウンロードできるモバイルアプリを活用するサービス。IDとパスワードを入力、言語を選択すると、テキスト入力の場合は30、音声は11の言語を自動認識、日本語へ翻訳するという。
対応言語(出典:凸版印刷)
英語翻訳には、国立研究開発法人情報通信研究機構が開発する深層学習を用いたニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation:NMT)を採用。
商品名、施設名などの固有名詞や利用頻度の高い定型文などを翻訳サーバーにあらかじめ登録できるほか、観光や学校、自治体分野で頻度が高い固有名詞3700語、定型文420文を登録済。家庭訪問や三者面談など様々な学校生活で活用でき、「外国人技能実習生総合保険」のような専門用語も正しく翻訳できるとしている。
標準登録内容は今後も拡充するという(出典:凸版印刷)
利用にはアプリダウンロードとあわせ、税別月額利用料金1台あたり5000円、初期費用10万円のサービス契約が必要。
固有名詞や定型文の登録はオプションで、1回につき12万円の登録料、1語につき1500円、1文につき3500円の翻訳料が発生するとしている。
VoiceBizを採用したのは大阪市役所、神奈川県綾瀬市役所、群馬県大泉町役場、山梨県甲府市役所、岐阜県岐阜市役所、静岡県袋井市役所の6つの自治体。大阪市立南小学校と神奈川県綾瀬市教育委員会も採用。墨田区役所も2018年6月から窓口業務に採用している。
翻訳精度の向上、用語の追加などサービスを拡充しつつ、2020年度までに売り上げ10億円、外国人比率1%以上の600の自治体、外国人児童在籍校7000校への導入を目指すとしている。
神奈川県綾瀬市役所での活用の様子(出典:凸版印刷)