三菱総研DCSは5月16日、ベネッセコーポレーションが運営する「進研ゼミ小学講座」の会員向け掲示板で投稿内容を確認する業務に、自社開発の人工知能(AI)を導入する実証実験を開始したと発表した。自然言語処理によって、掲示板への投稿内容が適切か否かを判定する。
DCSは、自由に記述された文章データをAIで自動的に分類する「文書分類技術」について、2016年から研究開発に取り組んできた。同社は、チャットボットや社内文書ファイル分別アプリを開発する中で、文書分類の理論や導入・運用のノウハウなどを蓄積してきたと説明する。
ベネッセは、コミュニケーションの活性化を目的に、会員が自由に投稿できる掲示板を運営している。だが、投稿文に不適切な内容が含まれていることがあり、結果として投稿を掲載する前の目視確認に多大な労力を要しているという。
そこでDCSは、確認作業の効率化を支援するため、文書分類技術を適用。ベネッセの目視判定結果が付いている投稿データをもとに、投稿内容を判断するAIを開発した。
そして社内評価実験(ラボ検証)で、正解率が高水準だったことから今回、実際の業務に適用し、運用に足るかどうかを検証する。ラボ検証と同等の精度を達成した場合、目視確認による投稿反映までのタイムラグをなくし、投稿をリアルタイムで掲載することができるという。なお、判定不能の場合は目視作業を適用する。
期間は、4月16日から6月30日までを予定している。確認事項は「AIによる判定精度はラボ検証と同等か」「投稿反映までのタイムラグがなくなったことにより、会員間での励まし合いが促進され、学習への積極性が向上するか」の2つである。
実用可能と判断された際は、「進研ゼミ小学講座」に加えて、ベネッセが運営する他の掲示板にもこのAIを導入することを検討する。さらにDCSは、掲示板への書き込みだけでなく、社内文書における機密レベルの分類や、メール文面のコンプライアンスチェックなどにも、同AIで用いられている文書分類技術を適用することを考えているとコメントしていた。
掲示板投稿監視業務の効率化イメージ(出典:DCS)