NECは6月26日、高エネルギー加速器研究機構と国立環境研究所からスーパーコンピューターシステム「SX-Aurora TSUBASA」を受注したと発表した。高エネルギー加速器研究機構では4月から、国立環境研究所では2020年3月から運用を開始する予定だ。
SX-Aurora TSUBASAは、NECが長年スーパーコンピューター開発で培ったLSI(大規模集積回路)技術と高密度実装技術、高効率冷却技術などを結集したカード型のベクトルエンジンを多数搭載する省電力なサーバー。世界一の単一コア性能および世界一の単一コアメモリー帯域を持ち、科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とする。
高エネルギー加速器研究機構は、高エネルギー物理学におけるシミュレーション研究を推進している。共同利用プログラム「素粒子原子核宇宙シミュレーションプログラム」を実施するために SX-Aurora TSUBASAを導入し、国内の素粒子・原子核・宇宙物理学分野でのシミュレーション研究に関わる全国共同利用システムとして活用する。導入するSX-Aurora TSUBASA A500-64(64VE)は、理論性能156.8TFLOPSの性能を実現しており、高い倍精度浮動小数点演算性能と高いメモリーバンド幅で、素粒子・原子核・宇宙分野のシミュレーションにおいて高い性能を発揮する。
国立環境研究所は、大気や海洋における複雑な自然現象の再現や予測を長期かつ全球的にシミュレーションすることや、地球上の生物個体や環境の情報を過去から現在にわたり蓄積して解析する膨大な処理にスーパーコンピューターシステムを活用している。今回導入するSX-Aurora TSUBASA A511-64(256VE)は、理論性能が620TFLOPSと現行機であるSX-ACEの約6.3倍の計算性能の向上を実現しており、同研究所で利用されているプログラムにおいて、高い演算性能を発揮する。