NECは5月23日、自動運転の安全性向上に向けた「適応ネットワーク制御技術」のフィールド実験を、情報通信研究機構(NICT)と共同で実施したと発表した。適応ネットワーク制御技術は、無線ネットワークに接続するIoTデバイスの種類や状況から優先度を判定して無線帯域を割り当てるもの。
実験では、第5世代移動体通信システム(5G)の商用化を見据え、適応ネットワーク制御技術を搭載したNECのMECサーバーとNICTの5G基地局を活用している。通信モジュールを搭載した車両の位置情報を定期的に送信し、通信モジュールから受信した各車両の位置情報を収集・分析、危険度を判断、接近車両へ注意喚起情報を送信する。
さらにIoTのサービス特性やトラフィック状況に応じて、ネットワークを動的に最適化する「Context-aware Service Controller」を活用し、危険度の高いエリアに無線リソースを優先的に割り当てるための制御情報(許容遅延時間)を基地局へ送信する。基地局は、MECサーバーから受信した制御情報をもとに車両の位置によって無線リソースを動的に割り当てる。
フィールド実験の概要(出典:NEC)
フィールド実験のシナリオ(出典:NEC)
実験の結果、混雑した通信環境下においても、車両に対し通信遅延を抑制した上でリアルタイムに周辺情報を共有できることが確認できた。NECは同技術について、自動車の安全運転支援に加え、今後、工場や倉庫における自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローンの自動運行などさまざまな領域の社会システムへの応用を目指す。
横須賀リサーチパークにおけるフィールド実験の様子(出典:NEC)