DNP、画像処理解析で危険を即座に知らせる監視システムを開発--森ビルが導入予定

大場みのり (編集部)

2019-08-20 15:50

 大日本印刷(DNP)は8月20日、監視カメラの映像に映り込んだ注意すべき人物や物体をリアルタイムで表示し、危険な状況の見逃しを防ぐ機械式立体駐車場向けシステムを開発したと発表した。画像処理解析技術やセキュリティ技術とカメラを組み合わせた「DNPセキュア監視サービス」の一つとして、2019年12月に提供を始める。

 機械式立体駐車場向けシステムは、「映り込んだ人物が長時間動かない」「見えにくい位置や色の服装をした人物がいる」「人物が車両内に残っている」「荷物が置き去りになっている」といった状況を画像処理解析技術で検出し、画面上にアラートなどを表示する。同システムは、カメラ、検出用PC、確認用モニターなどの機材とセットで提供する。第1弾として、森ビルが運営する虎ノ門ヒルズビジネスタワーの機械式立体駐車場に導入する予定だ。

 機械式立体駐車場では、2007~2014年に重大事故26件を含む約204件の事故報告があり、事故要因の約8割は「無人の場所での確認不足」とされている。そのため2016年、国土交通省によって「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」が策定され、施設管理企業は駐車場係員によるカメラ映像の確認やセンサーによる安全対策を実施してきた。

 だが、センサーで異常が検知された際に現場を確認しに行く負担や、システム上で映像を常時監視する負担が大きく、駐車場係員が異常を見逃したり、対応できなかったりすることが課題となっていた。こういった見逃しを回避するため、DNPは高精度な映像解析により、注意すべき対象をモニターの画面上にリアルタイムで表示する監視システムの開発・提供に至ったと説明する。同システムの画像処理解析技術は、印刷事業で扱う文字や画像データのデジタル化で培われたという。特徴は以下の通りだ。

  • 注意すべき対象の高精度検出・表示
    注意すべき人物や物体の動きを捉え、DNP独自のアルゴリズムで照明の変化、影や映り込みといった要素の影響を低減して追跡表示する。動きが止まった物についても認識できる機能も搭載しており、対象の移動や停止に関わらず継続して追跡する
  • 導入環境に合わせてカスタマイズ
    環境に応じて細かくパラメーターを設定できるため、確認したい場所の最適な解析結果を表示可能
  • リアルタイム検出
    安全確認機能に特化するため、軽量な画像処理のみで遅延が少ないリアルタイム検出を実現する
  • カメラなどの機材を選ばない
    撮影している映像を解析するため、カメラ本体や撮影した映像を保存・管理するソフトウェア(VMS : Video Management Software/System)の制限を受けない
(出典:DNP)
(出典:DNP)

 DNPは今後、機械式立体駐車場向けシステムを機械式駐車場メーカー、不動産デベロッパー、商業施設などに販売し、各社の製品・サービスへの組み込みを促進していく。DNPセキュア監視サービス全体としては、2021年度までの3年間で18億円の売り上げを目指すとしている。

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