社内申請のワークフローシステム化では、ほかの製品も検討したが、「Sm＠rtDBでは、部品を組み立てていく感じで構築できた。選択肢によって分岐しやすいこともあって選択を決めた」（同じく労務厚生課に所属する原和志氏）
Sm＠rtDBの採用決定から、同ソフトを開発するドリーム・アーツから2カ月の研修を受講。採用決定から半年後の2018年8月にワークフローシステムを全社にリリースした。手始めにユニフォーム申請書をワークフローシステムに載せたが、申請業務の処理が「早くなった」（鈴木氏）。ワークフローシステムに載せてからは、申請者本人と同じ画面を見ながら確認し合えるようになっている。
日本特殊陶業 経営管理本部 労務部 労務厚生課 原和志氏
1週間のハンコリレーが即日に処理
前述の通り、鹿児島宮之城工場や伊勢工場から紙で申請書が郵送されていたが、この場合は「ハンコリレーに1週間かかることもあった」（鈴木氏）という。ワークフローシステムに載せたことで「早ければ、申請したその日のうちに処理できるようになった」（鈴木氏）
2018年8月のリリース以来、50ある申請業務のうち「6～7割は電子化できている」（原氏）が、「法律の要件で原紙での保管が必要なものもあり、それ以外のものはできる限り電子化していく」（原氏）
現業部門の「本業に負担をかけない」（鈴木氏）ことを念頭に置いているが、電子化したことで「労務部や労務厚生課の担当者の工数も減って楽になった」（鈴木氏）
今回のワークフローシステム構築では、関連する情報の自動更新もできるようになっている。例えば、引っ越しでは、住所を変更するとともに定期券の区間変更も同時にできるような仕組みになっている。
出産休職から育児休職への変更もワークフローシステムにデータが残っていることから、過去の履歴情報を紙の申請書から探すといった手間も省けるようになっている。
ワークフローシステムで申請状況も可視化されるようになっている。
「従業員の異動は職場から起票される。これが拠点間の異動となれば、紙を郵送した時にあった、今どこに申請書があるのか分からないといったことがなくなってすべて可視化できている」（鈴木氏）
今回のワークフローシステム化は思わぬ効果をもたらしているという。申請書を電子化するにあたり、「プロセスを見直す」という意識を持つようになっていると説明する。「申請書を電子化するかどうか」を考えるとともに「そもそも、このプロセス自体が必要かどうかを担当者に聞くようになった」（鈴木氏）
「業務の担当者は当たり前のこととして考えているが、申請というプロセス自体が必要なのかどうかを担当者とその上司に聞くようになっている。例えば、この押印の意味がありますかといった感じで」（原氏）
紙でやっていた申請業務をそのまますべて電子化するだけでなく、プロセスの流れ自体をゼロから見直してシステム化する――。Sm＠rtDBというノンプログラミング開発ツールで自らシステム構築に携わった原氏と鈴木氏は、システム化を契機に業務プロセスを減らしたり、流れを変えたりするなどエンドユーザーコンピューティングのメリットである業務プロセスの最適化を意識するようになっている。
