日本全国でペーパーレス化が進みつつあるが、紙をなくすことはできないと考えている方も多いのではないだろうか。デジタル化したファイルで事足りたり、コンビニなどを活用して外で印刷できる機会も増えたりしているとはいえ、出力機器が皆無というオフィスはまだまだ少ない。
カラーかモノクロか、顔料やプラスチック粒子でできた粉末で構成するトナーを紙に転写する“レーザープリンター”か、液体インクを用紙に直接噴射する“インクジェットプリンター”か、はたまたコピーやスキャンといった印刷以外の機能も備えた“複合機”なのか。いくつかの選択肢はあるが、いずれにせよ紙にできるなんらかの出力機器はあるはずだ。
ここでは、一般的なオフィスでの活用を想定し、特長やラインアップなどをベンダーごとに紹介していく。第3回は富士ゼロックス。
同社は、富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)と、電子写真技術「ゼログラフィー」を初めて実用化した米Xeroxの子会社、英Rank Xerox(現Xerox Limited)との合弁会社として1962年に創業した。
ApeosPort-VII C7788(出典:富士ゼロックス)
現在は、カラーレーザープリンターとして「DocuPrint(ドキュプリント)」を展開するとともに、複合機では「DocuCentre(ドキュセンター)」と「ApeosPort(アペオスポート)」を展開。ApeosPortはウェブや社内LANなど様々なネットワークへの入り口も目指すことをコンセプトにしている。
7月22日には、ApeosPort-VII C/DocuCentre-VII Cシリーズの上位機となる税別標準価格478万円の「ApeosPort-VII C7788」、同433万円の「DocuCentre-VII C7788」などの最新機種を発売。同社エンタープライズドキュメントソリューション事業本部 事業企画管理部 統合プロダクトマーケティンググループでグループ長を務める古賀優氏は、いずれも7世代目に突入している2シリーズに共通したポイントを「使いやすさの追求」と語る。
多彩な機能を“やさしく”使える環境を
「2シリーズともに“市場に必要な機能の提案”をコンセプトにしている。少し前まではスキャンした文書の保有、スムーズな検索への誘導がポイントだったが、IT化がかなり進んだ今では“ドキュメントのフロー化”を重視している」と説明。複合機そのものの多機能化、連携サービスも含めるとさらに多種多様となるなか、フローをいかにやさしくし、簡単に使いこなしてもらうかに注力しているという。
古賀優氏
人と接する入り口となる機器には、デザインや使い勝手などからこだわったという。テンキーなどの電源とホーム以外のボタンは排除し、10.1インチのタッチパネルに集約。アイコンを大きめにし、表示しきれない部分をアイコンの“あまり”として半分表示。続きがあることを示唆しているという。
「説明書なしで使えるスマートフォンと比べて、複合機はわかりにくい。大型のパネル、アイコンに加え、出力完了時などの音や光といった通知もこだわっている。軽い力で済む引き込みトレイ、ゆっくり閉まる原稿カバーなど、顧客の声を反映しながら“誰でも、直感的に、やさしく”使える機器を目指した」(古賀氏)
“やさしさ”を追求したという(出典:富士ゼロックス)
紙のマニュアルは用意しないが、クラウド上で閲覧できるQRコードを表示可能。コンタクトセンターのオペレーターは同意を得れば画面同期が可能で、リモートで操作支援できるという。