大成建設は日本マイクロソフトとの協業し、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)を活用した施設運用・保守事業に進出すると発表した。
同社は既に、7月に「AI・IoT ビジネス推進部」を立ち上げ、Microsoft AzureとWindows 10 IoTベースのエッジデバイスを採用したクラウドサービス基盤を構築している。この基盤は、建物や利用者のさまざまなデータをIoTセンサーなどで収集後、各種データを可視化し、AI による分析結果をもとに建物設備の自動制御などを行う。

デジタルプラットフォームの概要
また同基盤を活用した関連新規事業を2019年度後期から順次展開していく。具体的には、地震発生直後の建物健全性把握、施設統合運営管理、生産施設での従業員の作業状況の可視化などが予定されている。
地震発生直後の建物健全性把握は、地震発生直後の突発的かつ短時間に膨大なデータ量の処理が求められる状況での正確かつ迅速な情報伝達によるBCP(事業継続計画)の初期対応への支援を行うもの。既に開発している地震発生直後に建物の健全性を迅速に評価し、建物の所有者や管理者にタイムリーに通知するためのシステムを同クラウド基盤で利用できるようにしたサービスとして提供する。このサービスは工場を所有する製造業や自治体などからの引き合いを受けており、今後数年で1000件程度の導入を予定している。
施設統合運営管理は、日本マイクロソフトの建物運営管理サービス「スマート・ビルディング・ソリューション」を活用したもので、ビル管理者向けに建物運営管理業務の効率化支援サービスとして提供する。さらに今後、大成建設と日本マイクロソフトで設計・施工と建物運営管理をパッケージ化したビジネスモデルの展開を進めていく。
生産施設での従業員の作業状況見える化は、従業員の心拍、体温、姿勢などの身体の状態、所在、作業環境のデータを、Windows 10 IoT ベースのエッジデバイス経由で随時取得してMicrosoft Azure上に蓄積し、関連情報をモニタリングするソリューション。AIによる分析などを行うことで従業員の作業負荷軽減や労働環境を改善するための効率的な作業計画立案、作業状況を考慮した動線・レイアウトなどを検討し、最適な指示やアクションの提示を支援する。