英国家サイバーセキュリティセンター責任者が語る、これからのセキュリティへの向き合い方

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-11-12 06:30

 IoTや量子コンピューター、5Gなどの新たな技術は、正しく使いさえすれば、インターネットや利用者のセキュリティを向上させられる可能性がある。

 英国政府の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)で最高経営責任者(CEO)を務めるCiaran Martin氏は、同組織の3年目となる年次報告書を刊行するにあたって行った講演で、企業と市民の両方のサイバーセキュリティを向上させるために、最先端技術にどのように対応すべきかについて論じた。

 われわれは現在、例えばハッキング、サイバー攻撃、マルウェアによる攻撃キャンペーンなどをはじめとする多くの問題に直面しているが、政府も業界も、インターネットが登場した時代には、こうした問題は想定しておらず、今と比べて、それらの問題への対応はそれほど重要視されていなかった。

 「われわれが立ち向かっているのは、『意図せざる安全性の欠如』とも呼ぶべきレガシーだ」とMartin氏は言う。

 同氏は、インターネットの先駆者であるVint Cerf氏の「われわれは、いかにしてシステムを意図的に破壊しうるかということについては考えていなかった」という発言を紹介しながら、「1990年代には、インターネットが今のような存在になると考えた政策担当者も、構造的または戦略的な観点でセキュリティを見ていた業界人も、世界中のどこを探してもいなかった」と説明した。

 ところが今や、システムを意図的に破壊し、ユーザーにリスクをもたらそうとする国家やハッカー、サイバー犯罪者に対処しなければならない時代になった。

 しかし、これから新たな技術や、それらの技術が日常生活の中で担う可能性のある重要な役割が台頭してくるということは、政府やIT企業やサイバーセキュリティ企業が、潜在的なセキュリティの問題が実際に発生する前に、問題への対応について計画できるということだ。

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