ビッグデータは、プロテニスのスター選手たちのトレーニングやプレーを変えている。しかし成功できるかどうかは、その大量の情報を、選手が勝つために使える知見に変えられるかどうかという点にかかっている。
ATPワールドツアーと、偉大なプロテニスプレーヤーであるNovak Djokovic選手の両方の公式戦略アナリストを務めるCraig O'Shannessy氏は、データを賢く使って準備をすれば、試合に大きな影響を与えられると話す。
O'Shannessy氏は、ロンドンで開催されたATPファイナルズの場で米ZDNetの取材に応じ、Djokovic選手にデータを生かしたアドバンテージを提供するために、さまざまなツールをどんな風に使っているかを語った。その中には、2019年に初めてATPツアーで使われ始めた「Infosys Tennis Platform」も含まれている。ATPツアーは、男子プロテニス協会が運営する世界最高峰の男子プロテニスツアーだ。
Infosys Tennis Platformには、選手やコーチが高度なアナリティクス機能や試合の映像にアクセスできるポータルが用意されている。このポータルでは、人工知能(AI)と機械学習を使って、ビッグデータと試合展開の転換点となった部分の映像をマッチングできる。選手やコーチは、100種類以上のフィルターを1000通り以上の組み合わせで適用して、対戦相手のパフォーマンスや、潜在的な強みや弱点を分析することができる。
O'Shannessy氏は、ポータルでデータを利用して映像クリップのカスタムプレイリストを作成できることは、「非常に大きなことだ」と話す。対戦後わずか20分で、手早く簡単に重要なポイントをまとめられることは、試合を戦う上での大きな差別化要因になり得るという。
「初めてNovak(Djokovic選手)と仕事を始めた2017年の全豪オープンのとき、私は彼と話をして、『私にはいろんなことができるが、一番してほしいことは何か』と尋ねた。そのとき彼が最初に言ったのは映像のことで、自分自身のプレーを見て、プレーのベストパターンを見られるようにしてほしいと言われた」と同氏は話した。
O'Shannessy氏は、トッププロ選手に試合や技術に関する分析サービスを提供しているビッグデータ企業である、Tennis Analyticsのツールも利用している。同氏によれば、コーチの観点から見れば、映像とアナリティクス技術を賢く使うということは、不要な情報を取り除いてまとめることだという。