IDC Japanは11月28日、DevOpsの実践状況に関するユーザー調査を発表した。実践率は年々拡大しており、売上額が成長する企業の実践率は過半数を占めるという。
Development(開発)とOperations(運用)を組み合わせ、同時並行で実施するという開発手法となるDevOps。IDCでは「企業や組織がビジネスのスピード、品質、競争力などのケイパビリティを高めることを目標とし、複数のチームや担当者が共同でアプリケーションの開発から運用までのライフサイクルを効率化するための方法を取り入れ、それを実践すること」と定義している。9月に実施し、対象はDevOpsを理解する企業のIT管理者。有効回答数は515社。実践の有無は考慮していないという。
「IT組織全体で実践している」という回答は18.4%。前回(2018年9月)の調査から5.8ポイント上昇したという。「一部の部門、プロジェクトで実践」は17.3%。合計した35.7%は前回から7.6ポイントの上昇で、前々回(2017年8月)から毎年上昇しているとしている。

DevOpsの実践状況に関する国内ユーザー調査結果、2017~2019年(出典:IDC Japan)
DevOpsの実践率が高い業種は、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディアを含む通信、サービスプロバイダー業が44.5%。次いで銀行、保険、証券などの金融業が42.5%。
とりわけモバイルサービス化が急速に進展する金融業界では、モバイルアプリケーションや連携するバックエンドのアプリケーションにDevOpsを取り入れ、アプリケーションのリリーススピード向上、継続的なアップデートを図る企業が増える傾向が見られるという。
企業の2017~2018年度の年間売上額成長率別で見た実践率は、年間売上額が20%以上成長する企業で56.5%、10~20%未満成長する企業では52.9%。DevOpsの実践が企業のビジネスに貢献しているという。
実践する目的は、「IT部門とビジネス部門の関係の強化」が45.1%で最多。「アプリケーション開発、運用コストの削減」が41.3%、「アプリケーション品質の改善、向上」が37.5%と続いた。
成果を出すために重要なことは、「DevOpsエンジニアの獲得、育成」が最多の34.2%。「社内エンジニアによるDevOpsサイクルの内製化」が26.1%、「DevOpsに対するビジネス部門の理解、協力」が25.5%で続くとしている。
IDC Japanでソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーを務める入谷光浩氏は「DevOpsは国内企業に着実に浸透しており、今後は成果を拡大するフェーズに入っていく。ツールや技術の活用だけではなく、組織や職種の枠を超えた人と人とのコミュニケーションやコラボレーションを円滑にし、アプリケーション生産性のさらなる向上、新たなアイデア創出のための環境づくりが重要になる」とコメントしている。