タマホーム、電子契約で年間1億円を削減--ワークフローとiPadで署名を1回に

藤代格 (編集部)

2019-12-13 07:15

 建築や設計、不動産などを営むタマホーム(港区、単体従業員数3348人)は、2018年10月から契約書管理サービス「クラウドサイン」を導入。総額1億円を超えるコストを削減しているという。12月11日、クラウドサインを開発、提供する弁護士ドットコム(港区)が発表した。

 紙を活用して契約する場合、施工前に締結する「工事請負契約」に2万円の印紙が必要になるという。毎年平均で8000~9000棟を引き渡し、顧客と半分ずつの負担となるため、8000万~9000万円がコストとして発生。工事開始後に締結する「追加変更工事請負契約」などでも、少なくとも200円かかる印紙が必要。電子化で高いコスト削減が見込めたという。

 日本発のサービスという日本語との親和性、リーズナブルな導入費用、国土交通省と経済産業省からお墨付きがあるという信頼性などからクラウドサインを選択。APIを活用し、独自開発のフロントエンドから活用する仕組みを1カ月ほどで構築したという。

 タマホームのワークフローとも連携し、何種類もの契約書に必要だった署名は全国約250の拠点に導入するiPadの画面上への1回に集約。1万円の印紙代とともに契約者の手間も削減していると説明。

 工事請負契約は口頭でも成立し、本人以外の署名でも法的な問題はないが、トラブルの元になる可能性はあるという。紙の場合に作成していた権限を代行する証明のための書類は、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)を活用した署名したPDFのスクリーンショット記録と署名者の顔写真撮影に置き換え。厳密な本人確認を継続できているという。

iPadでの署名画面(出典:弁護士ドットコム)
iPadでの署名画面(出典:弁護士ドットコム)

 住宅の建築や購入時の契約は高額な買い物となることが多く、この日のためだけに高価なペンを購入する署名者もいるという。日本の印鑑文化も含め、電子契約が受け入れられるかの社内議論はあったが、今のところクレームはないとしている。紙での契約も選択肢としては残しつつ、協力会社との電子データ交換(EDI)でのやり取りなど、活用を広げていくとしている。

(左から)タマホーム 経営企画部 課長 飯田剛氏、金融部 部長 山本紀久氏、主任 中井あゆみ氏(出典:弁護士ドットコム)
(左から)タマホーム 経営企画部 課長 飯田剛氏、金融部 部長 山本紀久氏、主任 中井あゆみ氏(出典:弁護士ドットコム)

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