TR田中:例えばニチレイロジグループは、RPAによる自動化で作業時間の短縮だけではなく、有給取得率を高めようとしています。製品で言えば、クライアント型の「WinActor」や「UIPath」、サーバー型なら「Automation Anywhere」や「Blue Prism」などさまざま。そうしたRPA市場に人材派遣企業が参画し始めています。
人材派遣企業から見れば、派遣先の庶務業務がなくなる可能性を感じているからなんだと思います。システムインテグレーター(SIer)とともに人材派遣企業がRPA業界に参入してくるのはメディア視点で興味深く思えますね。
さらにインテリジェンス化は加速する可能性が高いと思っています。活字の帳票は既存のOCR(光学文字認識)で読み取れますが、手書きの帳票の扱いは今でも問題。機械学習させた“AI OCR”も増え始めているので、2020年で一気に変化するか不明だけど、手書き帳票を扱う機会が多い公共系施設で求められています。RPAを賢くするという流れは加速するんじゃないかと。
野良ロボットの話に戻るけど、存在の可否は内容に左右されてしまう。ローカルPCのExcelワークシートを処理する程度なら放置しても構わないけど、例えば、ERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客情報管理システム)といった基幹系システムの情報にアクセスする野良ロボットは危険です。
ZD國谷:Gartnerが「2020年以降に向けた重要な戦略的展望トップ10」を発表しています。その中で、RPAや働き方改革について、インテリジェンスを活用して高度な業務を実現していくという予測がありました。ロボットのログデータを分析して高度なビジネスプロセスを作り上げていくといったものを指すようです。その行き着く先を「DigitalOps」と表現しています。
DevOpsなどはIT部門寄りの言葉ですが、一人ひとりの労働者のプロセスがデジタル化するというDigitalOpsはユニークな視点です。その世界観が実現するのは遠い先かもしれませんが、そのスタートを迎えるのが2020年かもしれないですね。RPAは働き方改革で盛り上がっているが、人の働き方そのものを変えていく将来のビッグバンが、実は2019年のRPAブームだったということになるかもしれません。