3.見積もりをしよう
さて引っ越しのうち、物理的な搬送そのものについては、搬送業者に委託する必要があります。搬送業者は、梱包と搬送だけする、というものから、システムインテグレーター(SIer)として移転の企画から支援するものまでいろいろあります。
専業の業者の場合もありますし、ハードウェアベンダーやSIerが業者とともに実施するケースもあります。まずはSIerに問い合わせてみてください。なお、委託する内容が搬送のみの場合は、移行先ラック設計、ラックアウト、ラッキング、ケーブリングなどは別途、自社で実施するかベンダーに委託する必要があります。
引っ越し(物理搬送)の費用はどのように決まるのでしょうか。主な要因は以下の通りです。
また、これに加えて、搬送の機器の種別が「保険料」に影響します。
まずは自社の環境で一般的なサーバー機器をもとに、1回あたりの引っ越しの想定モデルを作成し、ざっくりの見積もりを取ってみましょう。搬送業者がどのような条件を提示するか、どのような体制を組むか、準備タスクを設けるか、どんなドキュメントを提示してくるかなどを確認しましょう。
依頼する範囲にもよりますが、搬送業者との打ち合わせには、搬送する機器リスト、ラック図(ケーブリング図)、フロア図、搬入経路、ネットワーク配線図、電源管理図、当日のタイムチャートなどの提供が必要になることがあります。
まとめ
- 移転プロジェクトは「企画~移転先データセンター契約」「移転先データセンターの準備と移転計画作成」「システムの移転実施」のフェーズに分かれます。それぞれに必要な時間を考慮して、現在のデータセンターの解約までの概要スケジュールを立てましょう。
- データセンター移転にはたくさんの関係者が関わります。「移転計画書」を作成し、移転のスケジュールと役割分担、コスト負担の認識を共有しましょう。
- 搬送にかかわる資料を準備して、搬送業者に見積もりを取りましょう。
次回は最終回です。データセンター移転の「あるある」「困ったどうする?」トピックをご紹介します。
- 細川涼子(ほそかわりょうこ)
- Dell Technologies(EMCジャパン株式会社)ITXコンサルティング部
- サーバー構築、データベースサポート職などを経て2006年EMCジャパン入社。ストレージ製品の導入を経て2009年より現職。プライベートクラウドの企画、災害対策システムの企画、データセンター移転の計画策定や実施支援を多く手掛ける。