VR Japan、コニカミノルタジャパン、NTTドコモ (ドコモ)は1月17日、2019年12月に行われた「ドコモ5Gオープンラボ Yotsuya(オープンラボ)」での第5世代移動通信方式(5G)を活用した共同実証実験において、360度映像の大容量データを1秒以下という低遅延で配信することに成功したと発表した。
VR Japanが所有する低遅延VR(仮想現実)リアルタイム配信システムを用いて、コニカミノルタジャパンが提供するネットワークカメラ「MOBOTIX」の360度撮影映像をVRヘッドマウントディスプレイに配信。双方向のコミュニケーションが可能な360度VRリアルタイム配信は、医療教育分野や建設現場の安全管理分野などにおける課題の解決策として期待されているという。3社は2月、60度VRリアルタイム配信の技術的な発展と実用化に向けて、5Gとセキュリティを強化するための「ドコモオープンイノベーションクラウド」を活用した実証実験を実施する。
360度VRリアルタイム配信は今後、以下の用途において活用が期待されている。
- 医療業界向けの遠隔教育ソリューション
日本の医療現場では今後、患者の増加と医師不足が懸念されている。遠隔地にいる医師が医療を効率的に学ぶ環境が必要となっており、技術を有する医師の指導を受けられる体制は、医師がいない、あるいは不足している地域の改善につながるという。360度VRリアルタイム配信では視聴する側が自由な視点で見たい場所を見ることや、360度VR映像の上に手元をクローズアップした映像や診断画像などを同時に映し出す「ピクチャーインピクチャー」の技術を利用して、視聴する側が視点を大きくずらすことなく、超音波診断装置や画像診断ワークステーションなどに表示される映像を一度に見ることができ、双方向での会話も可能。これにより遠隔地の医師は経験のある医師があたかも目の前にいるかのように、画像確認や診断行為などの医療技術を1つの映像で見て、医師の技術指導を受けられるようになると期待されるという。 - 建設現場の遠隔監視ソリューション
建設現場では労働災害を防止するための措置が最も重要であり、建設現場で働く人々の安全と健康を確保して快適な職場を形成することが求められている。360度VRリアルタイム配信は堅固、防水、ちりが入るのを防ぐ機能を備えるMOBOTIXの360度の撮影映像をリアルタイムにVRヘッドマウントディスプレイへ配信するため、監視センターから現場の状況を監視しながら現場とのコミュニケーションを行うことが可能になるという。労働力不足が懸念される建設業界において、安全管理の技術を有する人材の確保は一層難しくなることが想定されるが、360度VRリアルタイム配信とMOBOTIXの解析・検知・通報機能によってこれまで人が監視、もしくは一方向のカメラが監視していた現場を高頻度・詳細・広範囲に監視することが可能となり、安全管理への寄与が期待できるとしている。

(出典:VR Japan、コニカミノルタジャパン、ドコモ)

(出典:VR Japan、コニカミノルタジャパン、ドコモ)