NECとビー・ビー・バックボーン(BBバックボーン)は、1.9GHz帯を使用する自営通信用のTD-LTE規格「sXGP(shared XGP)」に対応したプライベートLTEシステムと関連サービスの提供を2月25日に開始する。
NECは、sXGP対応アクセスポイント(AP)からAPコントローラー、それらと連携するPBX/キーテレフォンシステム、産業用デバイス(2020年度に提供予定)、プロフェッショナルサービス(現地調査、無線回線設計、機器セットアップなど)まで、総合的なソリューションを提供する。
BBバックボーンは、sXGP用SIMの開発・調達・契約、SIM情報管理・流通管理、公衆回線サービス(MVNO)、閉域網回線サービスを提供する。
sXGPはプライベートLTEの中で、無線免許の申請や無線従事者の設置が不要で手軽に利用を始められるという。NECは2019年7月、sXGP対応のアクセスポイントとAPコントローラーを開発したが、今回BBバックボーンと共同でSIM情報をスタンドアローンのAPコントローラーにも提供できる新方式を開発し、この方式を適用したプライベートLTEシステムと関連サービスの提供に至ったと説明する。
新方式の特徴は、厳格な管理運用が必要なSIMに書き込まれているIMSI(携帯電話ユーザーに割り当てられている識別番号)情報にBBバックボーンのキャリアグレードの運用ノウハウを適用。またSIM情報はネットワーク経由での提供が基本だが、オンプレミス型のAPコントローラーで外部ネットワークとの接続がないシステムでも利用可能なため、USBメモリーによる提供にも対応する。
NECはsXGP対応APとAPコントローラーについて、2022年度までに累計1000システム以上の提供を目指している。また、BBバックボーンはsXGPシステムに対応するサービスに加え、今回提供するNECの新システムにも対応していく。
提供するプライベートLTE(sXGP)システムのイメージ図(出典:NEC、BBバックボーン)
今回のシステムには「ローカルブレークアウト機能」を搭載。この機能は、APとAPコントローラー間で通信する制御信号パケットとデータ信号パケットのうち、データ信号パケットについてAPコントローラーを介さずに直接LANを通してアプリケーションサーバーと通信する。APコントローラーの処理負荷を軽減して、sXGPシステム全体の可用性を向上する。
また、GPSアンテナに接続したマスターAPと近くのAPがsXGP無線信号に同期する「Air同期機能」を搭載しており、これにより全APへのGPS信号の接続が不要となり工事費の削減が可能となる。さらに小規模ネットワーク向けにAPコントローラー機能を有する「アプリケーションユニット」の提供を2020年に予定している。このユニットはNECのキーテレフォンシステム(主装置)に搭載できるため工事や保守が簡易になり、設置場所の省スペース化も可能になるという。