VPNは難攻不落の要塞か--リモートワークで経営層が考えるべきこと - (page 4)

Jonathan Jackson (BlackBerry)

2020-03-25 06:45

「VPNレス」な体験を

 VPNは、この数年間で多くの進歩を成し遂げてきました。セキュリティ上の理由から、16桁のパスコードの入力やその頻繁な変更が必要だった時代は、もう遠い昔の話です。

 エンドユーザーにとって、現在の「VPNレス」なエクスペリエンスは、これまでよりも大幅に使いやすいプロセスです。プラットフォームはコンテナ化され、転送中のデータには、アプリケーション自身の中で必要な暗号化が行われます。

 企業はもはや、データフロー全体のセキュリティ保護に縛られることはなく、今後は、アプリケーションやエクスペリエンスに対してリソースを重点的に投入できます。BYODや在宅勤務のイニシアチブを採用する企業にとって、こうしたメリットはとりわけ有意義なものです。

 VPNを使用する重要なメリットは、高度なセキュリティにあります。サービスプロバイダーは、デバイスが企業ネットワークに直接接続していない場合でも、自社データのセキュリティと暗号化状態を維持できます。これによって、従業員は、あらゆる場所から社内ネットワークのデータにアクセスでき、生産性が向上するだけでなく、ハッカーが脆弱なデバイスを介してネットワークに侵入することを防げます。

 しかし、VPNの使用によって、企業ネットワークへの侵入を試みる攻撃者からの防御が保証されるものではありません。VPNサービスは一般的に、ネットワークレベルですべてのユーザーにアクセスを認め、この結果、VPNの権限を持つすべてのユーザーはネットワークのすべてのアプリケーションと保存データにアクセスできます。つまり、ネットワークに侵入されてしまったら最後、社内の情報は攻撃者によって抜き取られてしまうのです。

 テクノロジーの進化によって、企業はもはやVPNを頼る必要はありません。リモートワークとBYODを前提として仕事を行う世の中の到来を見据えた、VPNレスでPCを私用と仕事用の両方に使用でき、そしてセキュリティも担保できるソリューションはすでに市場に存在しています。

 それらは、企業のセキュリティ体制を犠牲にすることなく、デバイス間のデータのやり取りをシームレスに実行し、セキュリティや生産性はVPNよりも上回るものです。BlackBerryでも同様のソリューションを提供しており、そのソリューションに求められる差別化要因を以下の図で説明しています。

(筆者作成)
(筆者作成)

 繰り返しになりますが、リモートワーク導入にあたり、CIOの果たす役割とは、生産的、効率的な業務に必要なテクノロジーとツールを従業員に支給し、市場と従業員のニーズの進化に応えることです。これは難題に思われるかもしれませんが、恐れる必要はありません。

Jonathan Jackson
BlackBerryアジア太平洋日本担当セールスエンジニアリングディレクター
データプロテクションとプライバシーの唱道者として、セキュリティソリューションのアーキテクチャ、開発、管理における20年以上にわたる実績を持つ。現在、エンタープライズモビリティとサイバー脅威の課題に直面する顧客に対して、IT部門とエンドユーザーの両方の要求を現在と将来にわたって満たすためのモバイル戦略の策定を支援。BlackBerry入社以前は、NokiaとMicrosoftでエンタープライズモビリティの分野で複数の役職を歴任

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