
スマホアプリでkintoneを利用できるので、外出先から日報を出すのも簡単
キャプチャ:筆者
ある全国数十店舗で小売り販売をしている企業では、10数年前に構築したシステムが老朽化し、情報の共有に多くの時間と手間がかかっていた。そこで、たった3ヶ月でkintoneを導入し、システムをクラウド化。現場の作業時間を大幅に短縮し、その分接客に力を入れられるようになった。さらに、それまでは数字の報告が精一杯だったのに、アプリ化することで定型文を超えたコミュニケーションが生まれるというメリットも得られた。
kintoneを導入する際、ハードルになるのが社内への浸透だ。きちんと活用してもらえなければ、どんなにいいアプリを作っても効果が薄くなってしまう。もっとも多い、kintoneの導入に抵抗する理由は「UIがExcelと違う」というもの。社員は自分が抱えている業務が最優先。使い方のまったく異なるツールを使うことを強要されるのをとても負担に感じてしまうのだ。
企業によって、対処法は異なる。社内研修を繰り返し、なんとか使い方を覚えてもらう企業から、社長命令で強引に導入する企業まで様々。ある企業では、有給休暇や飲み会の補助金の申請といった、社員が使うことによってメリットを得られるアプリを最初に作り、なじんでもらうという戦略を採って成功していた。
Excelに慣れきって、Excel以外を使いたくない、という課題があるのなら、kintoneをExcel UIにしてしまう手もある。グレープシティの「krewSheet」というプラグインを導入すると、kintoneがExcelのようなUIになり、関数まで利用できるようになる。
ある製造業の大手では、kintoneの社内導入が進むほど、操作性についてクレームが寄せられるようになった。大量のデータを入力するのに手間がかかり、更新もしにくいというものだ。そこで、krewSheetを導入し、社内での活用が進んだ。それまでデータの集約にかかっていた作業時間を大幅に短縮することもでき、業務効率化も達成していた。
Excelのように見えるが、kintone+krewSheetの編集画面
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Excelのアナログ管理では、業務量が拡大するといずれ破綻する。無理に運用するよりは、kintoneアプリを構築することで業務効率を改善すれば、導入のコストや手間を上回るメリットを得られる。多くのkintoneユーザー企業も、まずはExcelをなんとかしたい、要望を持っていた。同じ悩みを持っているなら、kintoneを検討してみてはいかがだろうか。
次回は、業務をシステムに合わせるのが苦痛で、IT化がなかなか進まない、という企業課題をkintoneで解決した事例を紹介する。