企業課題を解決するために、ITを活用したい。多くの企業がそう考えてはいるものの、何をしていいのかが悩みどころ。目的に特化したクラウドサービスを導入したり、システムをイチから開発したりすることもあるだろう。そんな選択肢の一つが「kintone」だ。
kintoneはサイボウズが提供している業務アプリを構築できるクラウドサービス。企業が業務で利用するシステムをプログラミングなしで作成できるのが特徴だ。現場で働く人たちが直接システム構築に携わるので、意図した用途のアプリを短時間で作成できると人気を集め、すでに1万2000社以上が導入している。
Kintoneは簡単に言うと、どんな業種でもどんな人にでもマッチし、柔軟でカスタマイズされたシステムを構築できる。しかし、何でもできるという特性から、触ったことがない人にとっては具体的にどんなメリットがあるのかわかりにくいというネックがある。
筆者は、ここ数年、kintone関連の仕事を多く手がけており、大きなイベントやサイボウズ、関連企業への取材を日々行っている。現在は、メディアからだけでなく、様々な企業からkintoneやそのプラグインの導入事例記事の作成も請け負っている。
そこで、本記事では数多くの事例を直接取材してきた経験から、企業が抱えるよくある課題をkintoneでどのように解決できたのかを紹介する。第1回は、「Excel」ファイルが乱立してデータを管理しきれなくなったケースを取り上げる。
サイボウズが開発・提供する業務アプリ構築サービス「kintone」
キャプチャ:筆者
クラウドでアプリ化すれば業務効率を改善できる
業務で扱うデータをExcelで管理している、という企業はとても多いのではないだろうか。ファイルを作ったばかりの時は問題なく管理できるかもしれないが、時間が経つと問題が発生してくる。しかし、Excelを昔から使っている企業だと、それが当たり前で、課題だと感じないほど麻痺しているケースが多い。
こんな問題が起きていないだろうか。Excelファイルを誰かがコピーして更新し、どのファイルが最新なのかがわからなくなる問題。社内にファイルがあるので、外出先からアクセスできないという課題。新入社員が触ってはいけない計算式をいじってしまい、収益がずれるというトラブルなど、Excelを運用している現場からの悲鳴は尽きない。