AWSジャパン、リモートワークに役立つサービスを事例を交えて紹介 - 2/5

渡邉利和

2020-04-27 10:00

 アマゾンウェブサービス(AWS)ジャパンは4月23日、リモートワークを支援するAWSの各種サービスを紹介するプレス向けセミナーをオンライン開催した。具体的には、仮想デスクトップ基盤(VDI)「Amazon WorkSpcaes」、コラボレーションツール「Amazon WorkDocs」、コンタクトセンター「Amazon Connect」、ビデオ通話/オンライン会議「Amazon Chime」、仮想私設網(VPN)「AWS Client VPN」、アプリケーション配信「Amazon AppStream」の6つになる。

 技術統括本部 レディネスソリューション本部 本部長/プリンシパルアーキテクトの瀧澤与一氏はまず、いわゆるVDIサービスであるWorkSpacesと、WorkSpacesから利用できるストレージサービスという役割もあるWorkDocsの2つのサービスが紹介された。WorkSpacesは「AWSが提供するフルマネージド型でセキュアな仮想デスクトップサービス」で「いつでもどこからでも、AWSクラウド上の仮想デスクトップにアクセス」できる。

 AWSのクラウド環境上で仮想デスクトップ(Windows 7/10、Linux)が稼働しており、その画面イメージをユーザーの手元の端末画面上に表示、端末のキーボードやマウスなどの入力デバイスからの入力をネットワーク経由で仮想デスクトップに転送することで操作するシステムだ。ユーザーからは通常のPCを利用しているのとほぼ同様の操作感が得られるが、実際に稼働しているシステムはクラウド上にあり、データもクラウド側で保存されていることから、端末を紛失したり、盗難に遭ったりといった場合でもデータの漏えいリスクがないなど、セキュリティ面でもメリットもある。

 ネットワークに接続できさえすればいつでも自分のデスクトップにアクセスできることから、リモートワーク支援のためのサービスとしても有効だ。WorkSpacesでは操作端末としてさまざまなデバイスがサポートされている点も特徴で、Windows PC、Mac、Chromebook、ゼロクライアント/シンクライアント、iPad、Androidタブレット、Kindle Fire HDX、Web Access(Chrome、Firefox)が利用可能だ。

 また、WorkDocsは安全なフルマネージド型のファイルストレージとして提供され、WorkSpacesから利用できるストレージサービスであると同時に、複数ユーザーでコンテンツを共有したり共同作業を行ったりするためのオンラインのワークプレイスとしても機能するサービスとなる。

 続いて、新型コロナウイルスの流行を受けて、WorkSpacesとWorkDocsの2つのサービスを活用して在宅勤務を実施しているユーザー企業の事例として、仰星監査法人のパートナー 公認会計士の金子彰良氏が説明した。

 監査法人の業務は、最終的に監査報告書を提出することだが、そのためには監査報告書の根拠となるさまざまな監査調書や被監査会社から提供される監査資料などを必要とする。従来、これらは紙の資料で、会議室などで顔を合わせてやりとりされていたが、昨今の状況から、堪能な限り顔を合わせることなくかつ安全に受けわたす仕組みが求められている。そこで、仰星監査法人ではWorkDocsを内部のチームごと/被監査企業ごとに専用のサイトとして準備し、被監査企業と監査チームの間で安全に共有できる仕組みを構築した。

 また、業務環境はWorkSpacesを利用し、ローカルで使用する端末は社員全員にシンクライアント仕様の端末を貸与することで端末に機密データが残らないようにした。仰星監査法人では2015年にAWSの活用を開始しており、既にクラウドシフトが済んでいたため、今回の新型コロナウイルスの流行への対応もスムーズに進んだという。

 このほかのサービスとして、コンタクトセンターの機能をクラウドで提供するConnectについても、オフィス家具、文具、事務用品のPLUSが構内交換機(PBX)の更改タイミングでコンタクトセンターのインフラをアプライアンス型からConnectを利用したクラウド型に移行した例など、さまざまな事例が紹介された。

 また、オンライン会議やビデオ会議などに活用できるChime、オンプレミスにアプライアンスを設置する必要なくVPNサービスを利用可能なClient VPN、デスクトップアプリケーションを任意のコンピューターに安全に配信できるAppStream 2.0などが紹介された。

 今回紹介されたサービスの事例では、紙文化が根強く残ると言われる会計監査や、従来は電話回線が集まっている設備でないと業務ができないと思われていたコンタクトセンターなど、リモートワークへの対応が難しいと考えられていた領域での実績がさまざま紹介された点がポイントとなるだろう。

 最後に瀧澤氏は、「AWSからの提案」として紹介された各サービスの無償提供プログラムが準備されていることや、同社のパートナー企業各社が無償で提供するサービス一覧をまとめたウェブサイト「日本おうえんプロジェクト」が同日付で開設されたことなども明かし、新型コロナウイルスの流行によって従来とは異なる仕事のやり方を迅速に構築する必要に迫られている多数の企業に対して支援を提供する姿勢を明確にした。

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