米Teradataと米dotDataは6月26日、オンラインで記者会見を開き、両社の協業を発表した。dotDataが提供するAI/ML(人工知能/機械学習)自動化ソフト「AutoML 2.0」のデータソースとして、新たにTeradataのデータ分析基盤ソフト「Teradata Vantage」を利用可能にする。
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Teradataの主力製品であるVantageは、最新のデータ分析技術に対応したモダンなデータウェアハウス(DWH)とデータレイクを実現する統合型のデータアナリティクス基盤。エンタープライズレベルの処理能力と拡張性、可用性などを兼ね備え、企業内に点在するデータをさまざまな言語やツールで分析できる単一基盤をクラウドやオンプレミスで提供する。データ分析環境のサイロ化を解消し、分析エコシステムを簡素化するとしている。
dotDataは、2018年にNECから戦略的カーブアウトする形で米国で設立されたAIスタートアップ。AI/MLのモデル開発プロセスを自動化するAutoML 2.0を主力製品として提供している。2019年第2四半期には、Forrester Researchの「The Forrester New Wave:機械学習自動化ソリューション」でリーダーの評価を獲得し、Fortune 500を含むさまざまな企業が、同社ソフトを用いてAI/MLの開発を加速させているという。2019年10月末には、シリーズAラウンドとして2300万ドルの資金調達を完了させている。
dotDataの強みは、機械学習での特徴量の抽出設計をAIで自動化している点にある。AutoML 2.0とVantageを組み合わせることで、企業が持つさまざまなデータを高度なAIで分析することが可能になる。
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記者会見では、AutoML 2.0とVantageを利用する先行ユーザーとして三井住友海上火災保険の事例が紹介された。同社は、AIを活用した代理店システム「MS1 Brain」を2020年2月に導入。代理店がAIによるデータ分析にもとづき顧客ニーズを把握し、最適な商品やサービスを的確なタイミングで提案できるようにナビゲートする機能を提供している。
三井住友海上とその代理店が保有する顧客情報や外部の企業情報などをAIで分析し、代理店事業に有益な情報を活用する仕組みである。この基盤技術としてAutoML 2.0とVantageを活用している。
三井住友海上では、まずデータを再整理する目的で2019年4月にTeradataの製品を導入し、大量データの整備と業務活用の体制を整えた。2020年2月にはdotDataのソリューションを使い始め、データサイエンスを業務適用するハードルを下げた。これにより、従来比でAIモデルの開発スピードが10倍に向上。全国30店の代理店でトライアルを実施した結果、顧客に提案する保険における特典・特約の付帯率が2.5倍以上になったという。
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