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マルチクラウドのデータ保護における課題と対処 - (page 2)

山田秀樹 (Commvault Systems Japan)

2020-07-13 06:30

一貫性のある管理プラットフォーム

 単一のソリューションで組織全体を網羅する統一された可視性を得るというのは、現実にはなかなか難しいでしょう。しかし、データ保護という観点においては、一貫性のあるクラウドデータ管理プラットフォームが必須です。ほとんどのパブリッククラウドには、ネイティブのデータ保護ソリューションがあります。例えば、Microsoft AzureにはAzure Backupがあり、AWSには同じようにAWS Backupがあります。

 組織がこの2つのパブリッククラウドサービスを使用し、オンプレミス環境も持っていると仮定すると、少なくとも3つの異なるデータ保護ソリューションを使用していることになります。この状況で、ポリシーやジョブの監視、新しい資産の発見のためにある程度の一貫性を維持することは至難の業です。

クラウドネイティブ展開

 クラウドネイティブのソリューション展開をうたうデータ保護ベンダーは多く存在しますが、実際に意味するところは、そのソフトウェアがパブリッククラウドの1台の仮想マシン上で実行できるということです。これは、そのソリューションがオンプレミスの仮想マシン上でも動作することを考えると、特筆すべきことではありません。パブリッククラウドの最大の強みは、その弾力性とコンピュート、ストレージ、ネットワーキングを個別に独立して拡張できるサービスにあります。

 理想的なデータ保護ソリューションは、クラウドネイティブな方法でこれらのサービスを活用できることです。例えば、仮想マシンにストレージを追加するのではなく、BLOBベースのストレージを使用して、その場でストレージをプロビジョニングできるソリューションです。夜間のバックアップワークロードを処理するために、より多くのコンピューティングが必要な場合、水平方向に拡張することで負荷の増加に対応できるソリューションや、さらに重要なのは、コンピューティング需要の増加が終わればスケールダウンできるソリューションが理想的です。

 ほとんどのパブリッククラウドストレージソリューションには、ライフサイクルポリシーとストレージ階層化も組み込まれています。AzureにはAzure Archiveがあり、ストレージの階層には、これらのネイティブ構成も、コストを削減のために利用すべきです。

効率的なデータ移動

 クラウドでのデータ保護は、“データ重力”の問題を悪化させ、大量のデータを移動することが困難になり、コストもかかります。プライマリーデータと同じパブリッククラウドやリージョン(データセンター群)にデータのバックアップを保存した方が効率的かもしれませんが、あまりお勧めできないかもしれません。パブリッククラウド全体では非常に信頼性が高く、データの耐久性も非常に高いことがあります。例えば、Amazon S3の場合は、可用性が99.99999999%です。

 それでも、サービス停止は発生します。データは破損しないまま残っているかもしれませんが、データにアクセスできなければ意味がありません。リージョンをまたいだシステム停止も時々発生しています。バックアップデータへのアクセスがビジネス上必要不可欠な場合は、全てのバックアップを1つの場所または1つのパブリッククラウドに保存するべきではありません。

 パブリッククラウド間または同じパブリッククラウド内のリージョン間でのデータ移動には、コストがかかります。全てのパブリッククラウドにはネットワーク下り料金の概念があり、ユーザーはパブリッククラウドから出るデータの容量に応じて課金されます。クラウド間を移動するデータが多ければ多いほど、そのデータ移動にはコストがかかります。

 理想的なソリューションは、データの圧縮と重複排除を使用して、データの移動に必要なネットワーク帯域幅の消費を削減することです。例えば、Riverbed TechnologyやSilver PeakのようなWANアクセラレーターを提供している企業は、帯域幅を消費する過剰な料金ではなく、利用可能な帯域幅の不足が課題であった拠点に対して、既にこの課題を解決しています。

 データ保護ソフトウェアは、保護対象のデータに関する深い知識により、同様のデータ効率を実装できる独自の立場にあります。多くのデータ保護ソリューションでは、前回のバックアップ以降に変更された差分のデータのみをバックアップできるよう、既に何らかの形で無限増分を実装しています。また、これらのソリューションでは、ストレージバックエンドでのデータ消費を削減するため、データ重複排除機能を使用する傾向があります。グローバルな重複排除データベースを使用してソース側でのデータ重複排除が可能なデータ保護ソリューションでは、企業のデータ下り料金を大幅に節約できます。

まとめ

 組織は新しいマルチクラウドの現実に直面しており、IT運用、データガバナンス、コンプライアンスに関する幾つかの課題を生み出しています。クラウドとサービスを追加すると、複雑さとコストの問題が増大します。

 組織は、従来のオンプレミス環境ではデータ保護に悩んできましたが、マルチクラウドの世界では、悩みはさらに大きく複雑になります。つまり、データ保護ベンダーは、複合的な複雑さを緩和し、IT実務者の苦痛を和らげるソリューションを開発する必要があります。

 こうしたソリューションでは、ソフトウェアの全てのインスタンス間で一貫性のある管理プラットフォームを持ち、クラウドネイティブの展開と運用モデルを持ち、マルチクラウド環境で効率的にデータを移動できることが必要です。

山田秀樹(やまだひでき)
Commvault Systems Japan エリア バイス プレジデント
日本で定評あるデータ管理企業や大手IT企業で日本の責任者およびセールスリーダーを歴任。Commvault入社以前は、ピュア・ストレージ・ジャパンやルーブリック・ジャパンでカントリーマネージャーを務める。2020年1月よりCommvaultの日本の代表として、日本での成長を達成するため、セールスエグゼキューションを推進する。

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