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第1回:新型コロナがもたらしたサブスクビジネスへの影響と業界別分析

亀山將 (Zuora Japan)

2020-08-03 07:00

 世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るい始めてから、約半年がたとうとしています。程度の差こそあれ、今回の危機は人々の価値観や行動に大きな影響を及ぼし、いま私たちは“ニューノーマル”(=新しい日常)という言葉に象徴される変化の渦中にあります。その力はあらゆる社会層、あらゆる業種に及び、あらゆるビジネスに適応のための変化を迫っています。

 この連載では、日々加速する消費者の変化に対応したビジネスモデルとして注目を集める“サブスクリプションモデル”を取り上げ、新型コロナによる影響、サブスクリプションビジネス隆盛の背景から、成功に必要な要素、BtoC/BtoBの各業界における事例分析に至るまで、一過性の流行にとどまらないその本質の理解とともに、誤解されがちなサブスクリプションビジネスの“ホントのところ”をお伝えしていきたいと思います。

 第1回では、サブスクリプション向けのビジネス基盤を提供する米Zuoraがグローバル700社を超えるサブスクリプション企業のデータをもとに、パンデミック(世界的流行)前後における業界ごとの収益性の変化を分析・公開している調査レポート「Subscription Impact Report: COVID-19 Edition」から、新型コロナがもたらしたサブスクリプションエコノミーへの影響を見ていきましょう。

 ここから紹介するデータは全て、Zuoraプラットフォーム上でサブスクリプションビジネスを展開する700社以上のデータをもとに、パンデミック後の3カ月間(2020年3〜5月末)を直前12カ月間(2019年2月〜2020年2月)と比較してその変化を分析したものです。

85%超のサブスクリプション企業がコロナ禍においても引き続き新規契約を獲得している

 はじめに、結論からお伝えしますと「サブスクリプションエコノミーはさほど大きなダメージを受けていない」ということが分かっています。

 図1は、米国で新型コロナが社会に大きく影響を与え始めた2020年3~5月末までの期間における、各サブスクリプション企業の新規契約成長率(Subscription Growth Rate)を表しています。

 赤色のエリアは新規の売上成長率がパンデミック前よりもさらに加速しているグループ、黒色のエリアは新規契約の成長率がパンデミック前後で変わらず、同様のペースで成長を継続しているグループ。緑色が成長自体は継続している、つまり新規契約の獲得はできているものの、そのペースが減速しているグループ。そして水色がマイナス成長となっているグループです。

 これを見ると、水色「マイナス成長である」の14.2%を除いた85%強がパンデミック以降の3カ月間でも成長を続けており、全体の5割は売上成長に大きな影響を受けておらず、18.3%はむしろ成長を加速させている、という数字が見て取れます。

 さまざまな業界において多くの企業が資金繰りで困難に陥り、“経済が死ぬ”と叫ばれる中、にわかに信じがたいデータかもしれませんが、サブスクリプションモデルのレジリエンス(適応力/回復力)の高さを象徴する結果になっています。

 以下に、それぞれのグループに属する主な業種をまとめます。

 成長を加速させているグループには、各国における“ステイホームオーダー”によって需要が急増したビデオストリーミングやニュースといったデジタルコンテンツ系を始め、教育機関が物理的に閉鎖されてしまったことから、学びの場をデジタルへ移行する機運に後押しされたEラーニング系サブスクリプション企業が見られます。

 逆に売上成長が減速、もしくはマイナス成長となった業種については、日本でも大きな危機感を持って捉えられている旅行、交通、ホスピタリティー系産業や、クラスター発生の可能性が高いと言われる“三密”を伴うジムやレッスンといった施設メンバーシップ系が入ってきています。この辺りは、読者の皆さんの感覚値とも近いのではないでしょうか。

サブスクリプション契約1件当たり収益成長率も依然としてプラスを維持している

 サブスクライバー(顧客)との長期的な関係性の構築を前提とするサブスクリプション企業にとって、新規契約の獲得と並んで重要なのが、サブスクリプション契約1件当たりの収益の拡大です。

 この指標は「サブスクリプションサービスを利用中の既存顧客がサービスの提供価値をどう判断しているか」を測る重要な指標です。環境変化に伴うサブスクライバーのニーズの変容に対して企業側が迅速に、正しく対応できていれば既存顧客の利用量にひも付く契約1件当たりの収益は改善します。逆に最新のニーズに対応した価値提供ができていなければ契約プランのダウングレード、一時休止や解約を招き、サブスクリプション契約1件当たりの収益性は悪化します。

 図3を見ると、大多数のサブスクリプション企業においては契約1件当たりの収益成長も依然としてプラスを維持しているものの、直前12カ月と比較するとその成長率には減速が見られるようです。

 最も大きなマイナスの影響を受けているのがConsumer Membership (一般消費者向け会員サービス)、逆に既存顧客からの収益成長が加速しているのがIoTセグメントとなっています。

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