米ZDNet編集長Larryの独り言

5G対応「iPhone 12」登場、10年に1度の"スーパーサイクル"が起きるか

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-10-14 14:53

 Appleが発表した5G対応の「iPhone 12」が発売されれば、米国のスマートフォン市場が5G化される準備が整う。今回の製品ラインアップが幅広い価格帯をカバーしていることも、2021年にかけてのユーザーの買い換えを後押しすると見られる。

 Appleの発表(「iPhone 12 mini」「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」)は、アナリストの予想とおおむね一致しており、価格帯はiPhone 12 miniの699ドル(7万4800円)から、最上位機種である12 Pro Maxの1099ドル(11万7800円)からと幅広かった。今回の発表でもっとも重要なポイントは、AppleがiPhone 12 miniで、5Gデバイスとしては無難な価格を選んだことかもしれない。

 これまでにも「Android」の5Gデバイスは多数発売されているが、Counterpoint Researchの調査によれば、米国のスマートフォン市場の46%はAppleが占めている。またこれまで、5Gは上位モデルの市場向けとの見方もあった。

 AppleのiPhone 12シリーズが発売されれば、主要な2つのスマートフォンプラットフォームに5Gデバイスが出そろう。一部のアナリストは、同シリーズの発売によって、iPhoneが10年に1度という買い換えのスーパーサイクルに入ると予想している。

 WedbushのアナリストDaniel Ives氏はイベントに先立ち、Appleの5Gへのアップグレードに関して次のように述べていた。

 あらゆる市場で生産の増加がみられるとともに、来週のイベントで発表される予定のiPhone 12シリーズ(4モデルが発売されると予想されている)の発売を控えた潜在的な需要がみられている。特に、Appleと同社のアジアのサプライヤーは、iPhone 12に対する期待を高めている画面が大きい6.7インチモデルに対する需要が大きくなっていることで、今回の発売が「10年に1度」のものになる可能性があると予想している。

 Ives氏はまた、Appleの5Gデバイスへの買い換えサイクルで要になるのは中国市場だと付け加えている。中国の需要がインドとともに急増すれば、Appleは「2014年の『iPhone 6』以来、最も重要な製品サイクル」に期待できる可能性があるとIves氏は述べた。

 JefferiesのアナリストKyle McNealy氏は、Appleは通信事業者の端末購入補助金から恩恵を受ける可能性が高いと述べている。通信事業者は今後、2020年中に構築した5Gネットワークのキャパシティを活用するために、5Gユーザーを増やす必要がある。

 それに加え、特に中国のApple製デバイスのインストールベースは古くなってきている。これらの事実は、5Gをきっかけに大規模な買い換えサイクルが発生する可能性を示している。Jefferiesが実施したある調査では、中国のiPhoneユーザーの75%が、iPhone 6、6S、7、7S、8を使用していたという。

 McNealy氏は次のように述べている。

 もちろん、Appleにとって最も重要な地域は米国、欧州、中華圏だ。2019年の純売上高にそれぞれ45%、23%、17%寄与している。当社は、現在の環境はAppleにとって非常に有望なものであり、成長の余地が大きく、成長を促すきっかけとして作用する要因がいくつかあると考えている。各地域の成長を促す要因には、次のようなものがある。1)米国ではデバイスのアップグレード率と通信事業者の端末購入補助金のトレンドが反転している。2)欧州で、米国の輸出規制によって、華為技術(ファーウェイ)に対して、Appleのシェアが上昇している。3)中国の調査データは、今後Appleの市場シェアが伸びることを示しているのに加え、中国では買い換えが見込まれる古いデバイスのインストールベースが大きい。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

 Appleの「Hi, Speed」イベントを写真で振り返る。

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