ジェーシービー(JCB)、みずほ銀行、富士通の3社は、異業種間でID情報を流通・連携する実証実験を10月に開始した。
JCBと富士通は、2019年からデジタルアイデンティティー領域において共同研究を行ってきたが、複数事業者が持つ情報の管理や信頼性向上の観点から、今回、みずほ銀行を加え、ID情報の相互運用モデルに関する実証を行うこととした。
JCBとみずほ銀行が保有する参加者の名前、住所、勤務先などのID情報を、富士通が構築したクラウド基盤上で、セキュアに相互交換・連携する仕組みを検証する。
実証システムのイメージ図
参加者はJCB、みずほ銀行と取引がある富士通国内グループ社員約100人で約4カ月間実施する予定。クラウド基盤は、富士通研究所のブロックチェーンを活用した自己主権型/分散型アイデンティティー流通技術「IDYX」を組み込み、構築した。
実証実験では、JCBとみずほ銀行が自社で保有する参加者のID情報を電子証明書として参加者に自動発行する。参加者は、JCBとみずほ銀行から取得した電子証明書を項目ごとに自由に秘匿したり、組み合わせたりして、オンライン上でセキュアかつ信頼性のある自身のID情報を他事業者(JCBもしくはみずほ銀行)に連携する。
また、実証システムの利用を通じて、アイデンティティー基盤を実現するためのシステム構築の要件や運用方法も検証していく。
実証システムのユーザーアプリケーション画面
3社の役割として、JCBとみずほ銀行は実証システムを通して両社が保有する参加者の情報を各社から本人に開示する。同時に、同システムを通して参加者から開示された本人の情報を受領する。また、自己主権型/分散型アイデンティティーのサービス要件、運用方法と新たなサービスモデルを検討する。
富士通グループは、実証システムおよび参加者が利用するアプリを開発・提供し、実証実験の運営とシステムの運用を実施する。また、自己主権型/分散型アイデンティティー基盤を実現するためのシステムの設計と機能評価を行う。
今後、3社は各社が持つ顧客のID情報を顧客主導で相互に連携できるようにし、認証・更新することのできる事業者・顧客双方に利便性の高まるID情報活用の新たなサービスモデルを検討していく。