「生体認証、映像分析+感情分析」技術をニューノーマル時代に生かせ - (page 2)

松岡功

2020-10-29 07:00

ニューノーマルに向けて想定されるさまざまなユースケース

 以上が発表の概要だが、今回このサービスに注目したのは、生体認証、映像分析技術と、感情分析技術を組み合わせた、ニューノーマル(新常態)時代に求められる新しいサービスだと感じたからだ。

 想定されるユースケースとしては、次のようなものがある。

 まず、社内会議や研修などで、主催者と参加者の双方が会議中の注目度や満足度の全体的な傾向を共有し、状況に応じたファシリテーションや効果的な説明を促すことで、時間内に効率的かつ最大限に内容の理解を深めることができる。

 会議後は、主催者はセッションごとの参加者全体の反応推移を見返し、内容やファシリテーションスキルの改善に活用したり、参加者は自身の反応を振り返ることで、理解度の確認や業務へのモチベ―ション向上などにつなげることができる。(図2

 また、教育現場では、授業中の集中度や困惑度、満足度などの全体的な傾向を教師と生徒双方で共有し、生徒が満足に理解できていないと思われる状況などに即座に対応していくことで、より目的に適った授業を行うことができる。

 授業後は、教師は各生徒の反応を振り返って授業内容のブラッシュアップや個別指導に、生徒は自分の反応を振り返って自己学習の深堀にそれぞれ役立てることで、効率的で質の高い学習の実現に役立てることができる。(図3

 このようにコミュニケーションにおけるヒントを提供することで、オンラインでの会議や研修、教育、カスタマーサポートや営業活動、イベントなど、相互コミュニケーションが重視されるケースを中心に、社会的受容性を鑑みた用途での活用を見込んでいる。また、ツール利用者の人権やプライバシーに十分配慮し、安全で適切な管理の下、運用サポートを行える。

 ただ、このサービスには懸念もある。「監視」に使われかねないからだ。生体認証、映像分析技術だけでも監視に使われる懸念がかねて指摘されているが、これに感情分析技術が加わると、監視する意図がさらに深くなる気がする。

 従って、そうしたリスクもしっかりと把握した上で、ビデオコミュニケーションの質の向上につなげていきたいものである。

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