DXの目的は「業務プロセスの効率化」が8割に
「DXの取り組みを既に始めている」もしくは「検討を進めている」と回答した企業(305社、全体の57.3%)に対して、「DX推進の目的として重視していること」を聞いたところ、「デジタル技術の活用による業務プロセスの効率化、生産性向上」を「非常に重視している」が34.8%、「重視している」が46.9%と、合わせて8割超(81.7%)となり、最も重視度が高い項目として挙げられた。
また、「デジタル技術の活用による既存の商品、サービス、事業の付加価値向上」についても、「非常に重視している」が25.2%、「重視している」が47.5%となり、7割超(72.7%)の企業が重視しているという結果が見られた。
一方で、「デジタル技術を活用した新規事業の開発」「デジタル技術の活用による新規顧客の開拓」「顧客や社会のデジタル化に対応した抜本的な事業構造の変革」については、「非常に重視している」「重視している」の合計が5割前後で、「やや重視している」の比率が多めになっており、上記の2項目に比べて重視度がやや低めであることがうかがえる。新たな企業成長に向けたDXの推進という観点では、さらなる検討の余地があるものと思われる。(図4)
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「DXの取り組みを既に始めている」もしくは「検討を進めている」と回答した企業(305社、全体の57.3%)に対して、「DX推進の課題」を聞いたところ、「DX推進に関わる人材が不足している」ことについて、「おおいに課題である」「課題である」「やや課題である」の合計が8割超(86.5%)に達し、「人材不足」が DX推進における最大の課題となっていることが分かった。
また、「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」「具体的な事業への展開が進まない」について、「課題である」の合計がそれぞれ77.7%、76.0%となっている。この結果から、DXへの関心や取り組みが広がっている一方で、その具現化に向けて、多くの企業がさまざまな課題に直面しているという実態が浮かび上がった。(図5)
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今回、この調査結果に注目したのは、DXへの取り組み状況について、大企業だけでなく中堅中小企業も個別に調査した結果をレポートしていたからだ。それによると、図1に見られるように、多くの中堅中小企業がDXに関心を示していることがうかがえる。
また、図2で担当役員の任命状況、図3で担当部署の設置状況の調査結果が示されているが、中堅中小企業においては特に経営トップの熱意とリーダーシップが必須の要件である。
筆者は、何のためにDXを行うのかを明確にすれば、大企業よりもむしろ中堅中小企業のほうがDXの効果を短期間で生み出せると確信している。「DXは大企業の話」などと考えず、中堅中小企業にとって「DXはむしろ成長に向けた大きなチャンス」と捉えて果敢にチャレンジしてもらいたい。