ネット中立性を撤廃したFCCのパイ委員長、1月に退任へ

Marguerite Reardon SEAN KEANE (CNET News) 編集部

2020-12-01 10:33

 米連邦通信委員会(FCC)は米国時間11月30日、Ajit Pai委員長が2021年1月20日に退任すると発表した。2017年に政権を発足させたDonald Trump米大統領に任命された同氏は、Trump氏の後任となるJoe Biden氏が大統領に就任する日に退任する。

Ajit Pai委員長
Ajit Pai委員長
提供:Mark Licea/CNET

 Pai氏はおそらく、Barack Obama政権時代のネット中立性規則の撤廃という賛否分かれる決定を下したことで、最も強く記憶に残ることになりそうだ。2017年、共和党員が過半数を占めていたFCCは、「Restoring Internet Freedom Order」(インターネットの自由回復命令)を採択した。これは、2015年に民主党員が過半数を占めていたFCCが採択したネット中立性規則を撤廃するものだった。米上院では、同規則を撤廃するというFCCの採決を無効にすることが超党派の支持を得て可決され、多くの一般大衆の支持を集めたが、それでもネット中立性規則は2018年6月に廃止された。

 Pai氏と共和党系FCC委員であるBrendan Carr氏とMichael O'Rielly氏はこの規則について、ネットワークの改善に向けたブロードバンド企業の投資を抑制し、業界におけるイノベーションと雇用拡大を阻害すると主張していた。具体的には、ブロードバンドが公共事業のようなものとして再分類されると、料金を規制する力がFCCに与えられる恐れがあり、それが民間企業によるブロードバンドへの投資抑制につながったというのだ。

 Pai氏は、同規則が廃止されてからの1年間で、ブロードバンドへの投資が増加したと主張していた。しかし、決算報告書、独立した調査、ブロードバンド企業の最高経営責任者(CEO)らの発言からは、規則の廃止がブロードバンド業界における投資に何らかの影響を与えたことを示す明らかな証拠は読み取れない。

 また、Trump氏が大手ソーシャルメディアについて、オンラインでの保守的な発言を検閲していると主張し、FCCを利用して罰則を科そうとした際、Pai氏率いるFCCはこれを支持したことでも批判された。

 共和党から民主党への政権移行に伴い、FCCの現職委員であるJessica Rosenworcel氏と元委員であるMignon Clyburn氏が、Pai氏の有力な後任候補とみられている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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