Microsoftは米国時間12月3日、「Microsoft Azure」上での先進的なアナリティクスに関するオンラインイベント「Shape Your Future with Azure Data and Analytics」(Azureによるデータおよびアナリティクスを用いた未来の構築)を開催した。同社はこのイベントで、クラウドアナリティクスの旗艦サービスである「Azure Synapse Analytics」の最新バージョンの一般提供(GA)開始と、このサービスのコンパニオンサービスとなるデータガバナンスサービス「Azure Purview」のパブリックプレビュー版の提供開始を発表した。
Synapse Analyticsは「Azure SQL Data Warehouse」(SQL DW)を進化させたサービスであり、「Apache Spark」ベースのデータレイク機能の多くを搭載するために、このサービスを根本から刷新したものとなっている。またSynapse Analyticsは、データ準備やデータエンジニアリングのための「Azure Data Factory」や、ビジネスインテリジェンスのための「Power BI」、「Azure Machine Learning」および「Azure Cognitive Services」、「Azure Cosmos DB」などとの統合も実現している。
同社のコーポレートバイスプレジデントを務めるJulia White氏によるブログ記事によると、Purviewは「組織内を横断するすべてのデータを、その格納場所がオンプレミスか複数のクラウド、SaaSアプリケーション、Power BIであるかに関わらず見つけ出し、データの系統を追跡した上で業務データのカタログを作成するよう支援するもの」だという。Power BIとの統合は、このサービスが既に「Microsoft Information Protection」との統合を含む、データガバナンス機能を搭載しているため重要となる。実際のところ、Purviewもこういった機能を提供することでユーザーは、Power BIのユーザーが同サービスのレポート及びその他の資産に対して適用できるように、「Microsoft 365 Compliance Center」で定義した機密性ラベルをPurview内の資産に適用できるようになる。
White氏のブログ記事によると、PurviewはInformation Protectionとの統合とともに、「個人を特定できる情報(PII)や機密性の高いデータの分類や、コンプライアンスに準拠していないデータの特定を人工知能(AI)によって自動的に実行する」という特長を有している。これらの機能は、欧州連合(EU)の「一般データ保護規則」(GDPR)や米国の「カリフォルニア州消費者プライバシー法」(CCPA)に準拠する必要性への対応に向けて大きな役割を果たすだろう。
さらにPurviewはSynapseとも統合されているため、このプラットフォーム上で戦略的なソリューションを構築してきたMicrosoftの主要な顧客にとって朗報となるのはもちろんだ。またMicrosoftのChris Stetkiewicz氏は別のブログ記事で、FedExが「FedEx Surround」プロジェクトでどのようにSynapseを活用しているのかを解説している。このプロジェクトは、荷物から読み取ったデータと、道路の状況や天候のデータを組み合わせて問題を予測し、配達経路を変更することでその影響を低減することなどが可能だ。さらにFedEx Surroundは、新型コロナウイルスのワクチンの配送を支援するために導入される計画だという。IoTセンサーによるデータを活用して、位置情報の監視や交通状況や経路のマッピングを行うとともに、求められる温度範囲でワクチンが配送中に保存されるようにするという。
(Microsoftは、筆者Andrew Brustのアドバイザリー企業Blue Badge Insightsの顧客となっている。Brustは、Microsoft Data Platform MVPであり、MicrosoftのRegional Directorプログラムのメンバーだ)。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。