フィッシングメール対策にはドメイン認証技術「DMARC」が有効

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-03-25 12:35

 サイバー犯罪者は、信頼できる送信者であるかのように装って、1日当たり30億通以上のフィシングメールを送りつけている。

 これらの犯罪者は、メールの送信元フィールドに表示される送信者の身元を偽り、受信者が信頼している名前から送られたように見せかけて、メールを開くように誘い込む。送信元に使われるのは、小売店や配送業者などの信頼できるブランド名だったり、より巧妙な攻撃では、勤務先の最高経営責任者(CEO)や同僚の名前を騙ったりする。

 こうしたフィッシング攻撃は、単純なようで効果があるため、サイバー犯罪者は多くのフィッシングメールを送りつけている。電子メールセキュリティ企業のValimailによると、1日当たり30億通以上のなりすましメールが送信されており、メールトラフィック全体の1%を占めている。

 電子メールが攻撃手段として依然として悪用されている理由の1つに、リモートワークの増加がある。従業員は、社内コミュニケーションで使用されるメールの増加に直面している一方、在宅勤務だと電子メールが本物かどうか確認するのが難しいのが実情だ。

 こうした要素が重なり合い、人々と組織は認証情報の窃盗、マルウェア、ランサムウェアなどを含む、サイバー攻撃のリスクにさらされている。

 しかし、組織は認証プロトコルのDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)を適用することで、なりすましメール対策を講じることができる。このプロトコルを実装すると、そのドメインを使用してメールを送信でるのは、許可されたユーザーに限定されるため、フィッシングメールの送信を防げる。また、継続的な改善と保護のために、レポーティング機能も備えている。

 DMARCの実装は、なりすましメールの受信そのものを防ぐのに役立つ。Valimailの分析によると、DMARCを適用していないドメインの場合、疑わしいメールは1.9%だが、適用しているとその割合はわずか0.4%に減少する。

 つまり、DMARCが適用されていないドメインは、適用したドメインよりもフィッシング攻撃の標的になる可能性が約5倍高くなる。そのため組織は、DMARCでドメインを保護することで、インターネットをより安全な場所にすることができる。

 Valimailの最高経営責任者(CEO)で共同設立者のAlexander García-Tobar氏は、「有効な電子メール認証を導入することで、企業は自社と顧客をプライバシー侵害から守ることができる。導入しなければ、許可なくメールが送信されて、罰金が科せられ、機密情報が流出して、評判に悪影響が及ぶだろう」と述べている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. ビジネスアプリケーション

    インシデント対応における生成AIの活用に脚光、調査レポートから見るインシデント管理の現状

  5. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]