5Gと深層学習による鉄道設備の映像解析を最速0.94秒で達成--京急らが実証

ZDNET Japan Staff

2021-03-26 15:24

 中央復建コンサルタンツとNTTドコモ、京浜急行電鉄、神奈川県横須賀市は3月26日、5G(第5世代移動体通信システム)や人工知能(AI)技術のディープラーニングを用いて、鉄道のインフラ設備をリアルタイムに遠隔で自動監視するシステムを構築したと発表した。本格運用を検討していくという。

 このシステムは、線路基盤など鉄道のインフラ設備を4K映像で撮影し、そのデータを5G経由で網内クラウド環境(MEC)に転送、MECでディープラーニングを用いて映像解析し、解析結果を保守現場などのPCに投影する。作業箇所の特定などを高速に行い、作業を効率化する。

実証実験のイメージ(出典:NTTドコモ)
実証実験のイメージ(出典:NTTドコモ)

 各機関は2020年12月21日~2021年2月12日に、京急電鉄の久里浜工場で実証実験を行った。通常の車両監視や災害時の線路点検を想定し、車両監視では固定の4Kカメラとサーマルカメラで車両の床下機器を撮影、台車の疑似的なき裂やブレーキパッドの摩耗、機器を収容する箱のハンドルの開き具合や車軸温度の上昇の検出。線路点検では、ドローンに搭載した4Kカメラで線路にある飛来物などを想定した障害物を検知した。線路点検には、ドローンとの通信でWi-Fi構成に加え、28GHz帯のミリ波でドローンと5G基地局を直接接続する構成も用いた。

 その結果、車両監視では撮影からAI解析をPCに表示するまで最速0.94秒を達成し、1ミリ幅の擬似的な台車のき裂を検出できたほか、ブレーキパッドの摩耗や車軸温度の上昇も検出に成功した。線路点検での時間は1.26~1.33秒で、障害物を想定した10センチ角の木片や身長170センチの人の検出を行えたという。なお、ドローンと5G基地局を直接接続する構成は現状で電波干渉調整などの課題があるものの、用途の広がりは期待されるとしている。

実証実験での通信構成イメージ(出典:NTTドコモ)
実証実験での通信構成イメージ(出典:NTTドコモ)

 今後は、中央復建コンサルタンツとNTTドコモが本格運用の検討を進め、京急電鉄 と連携して鉄道事業における課題解決に取り組む。横須賀市ともその他の社会インフラの課題解決で連携していくという。

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