気象庁は、「地域気象観測システム」(アメダス)など3つのシステムを刷新し、全システムを統合運用するための仮想化基盤「気象庁情報システム基盤」上に移行した。3月に運用を開始している。気象庁情報システム基盤の構築と中枢システムの刷新・移行は富士通が担当した。
同基盤によって、各システムの運用管理体制を一元化できる他、コスト削減、システムの高度化、さらにはセキュリティ基準の統一による24時間無停止の安定稼働を実現している。同一基盤で運用されるため、新機能や新システムの開発期間の短縮や、他システムとの連携が容易になりデータの利用・活用を加速できるとしている。
気象庁情報システム基盤と移行システムのイメージ
刷新したのは、アメダスのほか「気象情報伝送処理システム」(アデス)、「潮位データ総合処理システム」の3システム。
これまで気象庁は、これらのシステムの他、業務ごとにシステムを整備し、大規模災害に備えて東西2局にシステムを分散配置の上、運用していた。しかし運用コストの増大や運用管理の複雑化、また新システム開発期間の長期化や最新技術への適応の遅れなどの課題が生じていた。これらの課題を解決するため、同基盤を導入し、各業務システムを2020年10月から順次移行している。
アメダスは今回のシステム基盤への移行により、近年の災害の局地化、激甚化に伴う気象観測データ量の増加に合わせて柔軟にシステムリソースを追加でき、迅速かつ的確な防災気象情報の発表に貢献できる。
アデスは移行により、アメダスや潮位データ総合処理システム、気象衛星などから収集される気象観測データの増大やスーパーコンピューターシステムの計算能力の向上に伴い必要とされているアデスのデータ処理能力を大幅に向上させ、逐一更新される気象情報を的確かつ機動的に配信することを可能にする。
潮位データ総合処理システムは、観測された潮位データを集約・処理し、高潮・津波などに関するリアルタイムな情報配信や外部機関などとのデータ交換を行う。今回のシステム基盤への移行により、地震や津波、台風などによる高潮の警報や注意報に必要不可欠なデータの安全かつリアルタイムな配信に貢献できる。